決勝では出足から、馬龍がリードして張継科が追いつくという展開。先に3−2とゲームをリードして王手をかけたのは馬龍。しかし、張継科は盛り返す。お互いの人間の限界を超えるような激しいラリーの応酬。近くにいたら彼らのドライブボールを目で追うのは至難だ。
追い込まれ、集中したときの張継科の強さは格別だ。6ゲーム目を取り返し、勝負は最終ゲームへ。一進一退の展開から10−8と先にマッチポイントを取ったのは張継科だったが、馬龍は意地を見せ10−10に追いついたが、ここでびびらないのが張継科。結局12−10で勝利。
思い出してみる。2011年の世界選手権。優勝した直後にユニフォームを破り、派手なパフォーマンスをした張継科。翌年のロンドン五輪の優勝では、勝った瞬間に走り出し、フェンスを跳び越え、表彰台にキスをした。2013年世界選手権では、やはり優勝を決めていきなり観客席に走り出し、両親と抱き合った。
毎度何かやる張継科。今回は……勝った瞬間にフェンスに走り出したと思ったらなんと右足でフェンスをキックして、スポンサーのプリントされたフェンスを破壊。
しかし、これだけでは終わらない。今度は反対方向のフェンスに走り出し、それも破壊。観客からはブーイングと拍手。その後、ユニフォームを脱ぎ、観客席に投げ込み、裸でベンチに戻った。
その後、表彰式に向かう張継科に劉国梁監督が寄ってくる。まずは握手を交わすのだが、1,2分間、顔を近づけ、何やら話す。以前のパフォーマンスでは監督から厳しく注意を受けていた張継科。しかし、両者の表情は固くはないが、笑顔もなかった。
以下は優勝記者会見での馬龍と張継科のコメント。
「張継科の優勝へ祝福を言いたい。信じられないような試合だった。中国同士の試合ではナーバスになることはない。すべての要因は自分のパフォーマンスだと思う」と馬龍。
張継科はこう語った。
「まず試合後の自分の態度、行動を謝罪したい。そして対戦相手の馬龍にも謝りたい。準決勝のボルとの試合でも、決勝でもハイレベルな試合を観衆に見せることができたと思う。今日の決勝には勝者も敗者もいない」「準々決勝のアルーナは、アフリカのレベルが上がっている証拠だ。彼はライジングスターで将来もっと強い選手になってくるだろう」「2013年に世界チャンピオン(2度目)になってから重圧もあったし、批判されたこともある。確かにそういう大きなプレッシャーから解放されたし、次は今日のようなパフォーマンスをしないようにしたい」