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 すでに「ユース五輪世界予選会への参加選手の選定」に関する牛嶋選手(正智深谷高)のスポーツ仲裁機構への申立(もうしたて)の棄却は報じた。
 世界ランキングの最上位選手が日本卓球協会派遣として世界予選会に出場するという主張が認められたのだが、「今のままではお金によって、世界ランキングが獲得できてしまう。お金のないチームの選手は強くてもチャンスを与えられない」と正智深谷高の平亮太監督は嘆く。長いものに巻かれずに、あえて協会に申立を行った牛嶋選手と平監督に励ましの声が届いているのも事実だ。
 今回の一件は、近年、協会が抱えている「ジュニア選手の強化の二重構造」が露呈したものだ。JOCエリートアカデミーはある種の国家プロジェクトとしての事業で、数千万円と言われる予算が付き、アカデミーに所属する選手たちは国際大会に数多く出場できる。

 一方、今まで日本の卓球界を支えてきた地方のチーム、指導者、選手たちはなかなか国際大会への出場機会が与えられず、自費参加となれば1大会数十万円ほどの自己負担が重くのしかかる。
 競争の原理が働いているようで実はあまりそうでもない。
 公式戦でエリートアカデミーの選手と中・高校の強豪選手が戦うのは全日本選手権ジュニアや、世界ジュニア選考会(女子のみ)くらいなのだ。だからこそ、ある指導者は「エリートアカデミーの選手もインターハイに出て、一緒に戦い、協会は強い選手を国際大会に派遣してほしい」と切実に願っている。
 国家プロジェクトゆえに、協会がそこに注力するのは当然だろう。しかし、一方で全国の指導者や選手への配慮も必要、という悩ましい問題が明るみに出た。それが、今回の「申立」が起こした波紋だった。