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 期せずして、9月15日に開かれたTプレミアの参加チームの一般募集の説明会と記者会見を行った日、ドイツのブンデスリーガ1部のオクセンハウゼン(現在村松雄斗やブラジルのカルデラノなどが所属)のクリスチャン・ペジノビッチCEO(最高経営責任者)がVICTASとの提携の発表会見のために日本を訪れていた。
 その日の午後、Tリーグの会見後に彼に話を聞くことができた。参加要項や入会審査基準をペジノビッチ氏に説明すると、彼は目を丸くしていた。

「ブンデスの男子1部リーグもプロ興行的なものだが、このTプレミアとはだいぶ違うような気がする。ブンデスリーガも企業がスポンサーになっているが、あくまでも主体は企業ではなく、チームであり、その地域。
 だからこそ、ブンデスリーガにはボルシア・デュッセルドルフやオクセンハウゼンのように50年以上も続くクラブが存在するし、ヨーロッパには100年以上続く卓球クラブもある。経済状況によって左右される企業に依存するのは危険だ。スポーツクラブはあくまでも地域主体となり、その地域に貢献することが重要だと思う」

「それに2億円を超す予算というのはハードルが高いね。ブンデスリーガではボルシア・デュッセルドルフやオクセンハウゼンがそれに近い予算を持っていると思うけど、それ以外はもっと小さな予算でやっている。
(日本リーグのトップチームは人件費を含めると7千万円とか8千万円の予算だけども・・)ブンデスリーガのほかのチームの予算もそのくらいだと思うし、それでもやっていけると思う。
 選手の出場に制限(全体の75%までしか試合に出られない)があるのは驚いた。観客が水谷の試合を見に行ったら、彼が制限のために試合に出ていなかった、ということだよね……。
 もちろん日本のTプレミアが成功することを祈っているし、今後、協力してうまくやっていきたいと思っている」
 以上は、ペジノビッチ氏のコメントだった。

 実際には、選手の獲得という面ではブンデスリーガや中国のスーパーリーグとTプレミアが競合する面も出てくるだろう。
 昨シーズン、20数名の日本選手がヨーロッパのリーグでプレーしたが、ヨーロッパでプレーしていた選手たちが日本に戻ってプレーする可能性もある。トップ選手への報酬をTプレミアが押し上げていくことは間違いない。それはプロ選手にとってはプラスだ。

 長く日本選手が憧れていたブンデスリーガがTプレミアの手本だと思うが、予算やお金の面ではTプレミアがブンデスリーガを超えていく可能性がある。しかし、日本のTプレミアのチームがヨーロッパの卓球クラブの哲学やポリシーを手本にすることを期待したい。
 卓球チームの運営はお金で動くかもしれないが、卓球ファンの心はお金では動かない。卓球というスポーツで地域を活性化させ、貢献していくという理念。そこに毅然としたスポーツ文化としての哲学が存在しなければ、卓球というスポーツは発展せずに、Tリーグの努力は水泡に帰すことになる。 (今野)

  • オクセンハウゼンのクリスチャン・ペジノビッチCEO