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 Tプレミアに関しては「大企業中心のチーム編成となるのでは」という予測と、トップ選手たちからは「いったい、何がどうなって、Tプレミアはどんなふうになるのか、自分たちは将来どの方向に行けばいいのか」という疑問と、「Tリーグの話は選手たちはほとんど聞かされていない、情報が少なすぎる」という不安の声が多く出てきている。
 また地方の卓球ファンには、「結局Tプレミアが首都圏中心のチーム編成になり、自分たちは関係ない。単なるプロ興行で、プレミア以下のT1以下のリーグはできるまで時間がかかりそうだし、もっと地方活性化のための構想かと思っていたのに、あまり関係ないのか」という失望感が漂っている。

 日本卓球協会の過去の理事会では「Tリーグは日本リーグと共存共栄であるべき」という建前だけが話されていた。
 そもそも加入の是非が注目された日本リーグの理事会といっても、企業の経営陣が入っているわけではない。卓球部長や企業の管理職の人たちが集まる会議の中で、日本リーグの将来を決定していくのも無理がある。
 なぜならば、理事会に出席する企業(加盟チーム)の管理職の人で、5年後、10年後も卓球部に関わっている人はごく少数だからだ。卓球部長の任期中に大きな変革の舵を切る決断を下すのは酷な話である。
 ということは、日本リーグからの結論はある程度見えていたのではないか。Tリーグと日本リーグをジョイントさせるには、企業のトップを動かす相当大きな力が必要だった。そして、今回その力は発揮されなかった。

 客観的に見ても、この何年間は無駄だったと言わざるを得ない。1993年にサッカーのJリーグをスタートさせ、2015年にはバスケットのBリーグを創設させた川淵三郎氏のような強いリーダーシップを持った人が卓球界にはいなかった。これだけの大きなプロジェクトを動かしていく人材が見当たらない。
 とは言え、実際にはTリーグ代表理事の松下浩二氏が今まで以上に動くしかない。彼以外に、卓球界とスポーツ界を熟知し、スポンサーとの交渉ができ、国内外にパイプを持っている人間はいない。裏を返せば、卓球界の人材不足に尽きる。
 「企業主体の興行だけのリーグを作るつもりなのか、単なる金儲けのリーグなのか」と指を指される前に、松下氏はTリーグの大義を述べ、大きなビジョンを掲げる必要がある。
 あと5年は続くであろう、この「卓球バブル」をバブルに終わらせないために、Tリーグが卓球界を健全な方向に導くことを願うばかりだ。 (今野)

*松下浩二代表理事のインタビューは卓球王国最新号(11月号/下記リンク)に掲載
http://world-tt.com/ps_book/back.php?lst=2&mcd=AZ247