まさに吉田劇場。試合の出足から自分の空気の中に引きずり込むようなオーラを放つ吉田海偉(Global Athlete Project)。対するは高校3年の龍崎東寅(JOCエリートアカデミー)。ふだん、ポーランドリーグから帰ってくるとトレセンで練習する吉田だが、龍崎ともよく練習をする仲だ。お互いが知り尽くしている。
「今日、一番良かったのはメンタルかな。自分に勝てないと試合でも負ける。お互いよく知っているのでやりにくさはない。作戦は特に考えていない。昔の23歳で全日本チャンピオンなった時のように思い切って、全力でやるだけでした」(吉田)。
終始、吉田ペースで余裕がある試合ぶり。
「ここまで来たらみんな強いですから、考えすぎないでやるだけ。ベンチの奥さんには『落ち着いて、試合だけ集中して』と言われた。勝ったら奥さんにチューしようと思ったけど、ここはヨーロッパじゃないからやめました(笑)。ぼくがいつもヨーロッパに行くから、奥さんは卓球場のこと、子どものこと、ぼくが帰ってきたらぼくのこともやるから、彼女がいるから卓球ができるのだから、そのためにも頑張りたい」(吉田)。
「今日は娘も見に来ていたし、将来卓球をやるので、良いイメージを彼女に与えたかった(笑)。去年は急にヨーロッパの大事な試合があって大会に出られなくて申し訳なかったから、今回は応援している人のためにも頑張りたかった。この場で試合をするのは楽しい。
進化ですか? 今までヨーロッパでの勝った試合、負けた試合を反省して、技術も工夫している。ただあとは頭です。戦術とかを考えることしかできない。それに自己管理して、体を気をつける。
もう日本代表じゃないからいいやと思ったら、だめですね。好きだから関係ない。昔は日本のためにやっていたけど、今は自分のため、家族のために卓球を頑張ります」(吉田)。
3年ぶりの準決勝進出。元チャンピオンとしての存在感を十分に見せた吉田は次に吉村和弘と対戦する。
●男子シングルス準々決勝
吉田海偉(Global Athlete Project)6、4、-7、8、6 龍崎東寅(JOCエリートアカデミー/帝京)