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平成28年度全日本選手権速報

「張本のことをコメントしよう」
 18年間、全日本選手権を観戦し続けているマリオ・アミズィッチは語り始めた。
 2002年に坂本竜介、岸川聖也がドイツに渡り、その後、水谷隼、高木和卓という日本の有望な若手が アミズィッチの元、練習を重ね、日本の卓球は変わっていった。ヨーロッパでのカリスマコーチだったアミズィッチは張本の敗戦に驚かなかった。

「彼は世界ジュニア選手権で優勝して、そのプレッシャーは想像を超えるものだったと思う。全日本で戦うことは、彼にとって『ジュニアは勝って当たり前』と思われているわけだから、失うものはあっても得るものはない。一般の部では負けても失うものがないから思い切ってやれると思う。13歳の彼にとっては、勝つことよりも負けることのほうが得るものは大きい。勝ち続けることはプラスにはならない。負けることで覚えることは多いから」

「張本の才能は特別なものだと思うけど、彼に降りかかるプレッシャーはこれから毎年大きくなっていくだろうから、それを克服していかなくてはならない。 マスコミも『東京五輪に出場、メダルか』と言ってるでしょ。それを13歳の少年に聞いたり、言わせるのは酷だ。そういう状況が彼を苦しめ、重圧を大きいものにしている。
 私は18年間全日本を見てきた。毎年のように『あの選手はすごいでしょ、才能あるでしょ』と日本の友人に言われるけど、その中で世界のトップで活躍したのは水谷しかいない。その理由を日本の関係者は考えてほしい。理由が知りたい? それは今度教えるよ。張本がそうならないことを祈っているよ」

 アミズィッチ独特の言い方で張本を評した。確かにテレビでも新聞でももてはやされた怪物選手。負けて得たものは大きい。
  • 敗戦直後、涙が止まらない張本

  • 泣きはらした顔で会見場に現れた張本