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 この2,3年で、卓球マーケットに異変が起きている。ある大手卓球ショップオーナーは「ネットショップによって価格競争が激化して、自分たちで自分たちの首を絞めている状態だ」と嘆いている。

 通常店頭で1〜2割引だった卓球ショップ(路面店)が、ネットショップの出現によって大きく転換を迫られ、ネットショップではさらに割引競争になっている。聞けば、コストを引いたらほとんど利益は出ないのに、単なる目玉商品として利益無視で売られ、過剰競争になっている。
 また、各卓球メーカーは一部のネットショップの並行輸入ものや、逆に日本から海外へ商品が不正規ルートで流出しているために、タマス社のように世界標準価格を設定しようという動きもある。しかし、外国為替の関係もあるので並行輸入や不正規流出によって利ざやを稼ぐ業者はなくなりそうもないのが現状だ。外国貿易の比重が高い卓球メーカーや、卓球メーカーの代理店は頭を痛めている。

 消費者目線で言えば、安く買えるから「ヨシ」ということになるかもしれないが、卓球マーケットの中で商売をしている卓球ショップや卓球メーカーにとっては深刻な問題だ。特に卓球ショップは働けど働けど利益出ずという状態が続き、激しい消耗戦に突入している。全国各地の地域で頑張っている卓球ショップは、その地域での卓球活動の拠点になったり、連盟の事務局代わりになっているところも少なくない。知恵と体を使ってこの消耗戦を戦い抜かなければいけないのだろうか。地域密着の路面卓球ショップはネットショップとの差別化を図り、路面店ならではのサービスを求められているのだろう。

 一方、採算度外視で目玉商品を作るのはスーパーマーケットと同じ手法かもしれないし、「どんな売り方をしても商売なんだからとやかく言われる筋合いはない、ディスカウントするのも企業努力」というのがネットショップの言い分だろう。 
 ゴールの見えない過剰な価格競争は長い目で見ればお互いショップ同士がすり減っていくだけで、勝者の姿は見えない。卓球ショップで店員の人と話をしながら卓球談義に花を咲かせ、商品の話をするというのは昔の話なのか。卓球メーカーもそういったネットショップへの供給をストップしたいのが本音だが、日本では卓球メーカーからショップに直販という関係が少なく、問屋から商品が流れるために、卓球メーカーは制御できない事情もある。
 また、姿の見えないネットショップでは、以前紹介したようにルール違反のブースターを売るなど、モラルのない業者も存在しているので、購入者は注意してほしい。
 インターネットがひとつのビジネスツールとなり、誰もが使うようになった昨今ならではの「卓球メーカーと卓球ショップの憂鬱」である。