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 掲載2回目。
 3月1日にスロベニアのリュブリャナで行われたITTF(国際卓球連盟)EC会議(役員会)で、2011年より選手会会長を務めるサムソノフ(ベラルーシ)へのインタビューが行われた。以下はITTFのホームページから。

●あなたが1994年に世界で戦うようになってから卓球界はどのように発展してきましたか? 今日、チャンピオンになるためには何が必要だと思いますか?
【サムソノフ】世界のトップに立つにはかなりがんばらないといけない。中国に住んだり、近くに良いクラブがあれば、ラッキーですね。良いコーチに恵まれることも重要です。しかし、最終的には選手自身によります。
 最近1993年の試合を見て、現在の試合とあまりにも違うので驚きました。今よりとても速いですね。でも今の卓球のほうが良いと思います。1990年代や1980年代など、見て楽しい試合もありました。アペルグレン(スウェーデン)やセクレタン(フランス)など台からかなり下がる試合は楽しかったです。今は水谷隼やボル(ドイツ)や新しく出てきたカットマン・塩野真人の試合が好きです。観客は長いラリーが好きなので、期待に応えられるように可能なことはすべて実行していきたいと思っています。

●今後どのように試合は発展していくと思いますか? 選手はどんどん力強くなってきていると以前に言っていましたが、もっと感覚やコントロールを重視しないといけないと思いますか?
【サムソノフ】多くのことが新しいボールによって変わっていくでしょう。個人的にはボールの品質によるコントロールに困っています。同じ動きをしてもボールがネットにかかったり、台からオーバーしたりします。上回転でのラリーはボールコントロールが楽ですが、エラーの誤差も大きい。そして、パワーが必要ですので、数年前に比べて選手は力強くなってきました。
 プラスチックボールは本当に卓球界の今後を方向づけるものです。硬くなり、弾みが増し、安定するためコントロールがしやすくなる一方で、試合の速度が少しゆっくりになるので、守備型の選手には有利になるかもしれません。すぐにスピードが落ちる(減速)ので、ラリー中に今までより時間に余裕ができると思います。

●どうして中国選手はあんなに優れているのでしょうか? ヨーロッパの反撃はあるのでしょうか? どのくらい長く中国の支配は続くと思いますか?
【サムソノフ】卓球は常に中国にとって特別なスポーツで、伝統があり、専門分野です。多くの素晴らしいコーチもいるし、競技人口もかなり多いです。加えて現在は財政的にも余裕があるので、そういう中国を破ることはとても難しいです。トレーニング環境も完璧です。1990年代、何人かの中国選手はヨーロッパでプレーしていましたが、現在の中国超級リーグはとても強い。用具面でも以前に比べ数段良いものを使用しています。
 卓球はヨーロッパであまり人気がなくなって来たようです。強化を始めるにはたくさんの子どもたちを集めないといけない。その中から何人かが突出しても成功するのはその中のほんの一握りです。少ない人数で始めてもトップ選手が育つ可能性は低く、大勢が卓球に集中している中国のようにはいかないでしょう。しかし、ヨーロッパはもう一度アジアや中国に対抗する必要があります。それは卓球界にとって必要なことです。
 ヨーロッパにも多くの才能ある若者がいるはずです。しかし、彼らには的確な強化計画が必要なのです。ETTU(ヨーロッパ卓球連盟)はこの才能ある若者たちが上達できる環境作りに力を注がないといけない。しかし、実行するのはとても難しいことで、残念ながら私にはその方法がわかりません。どうやったら中国を倒すことができるかはわかりません。中国は卓球をこんなにハイレベルに引き上げました。豊富な選手層、ベストなコーチ陣、そして最高の環境。このレベルに近づくのはとにかく簡単なことではありません。
<続く>
  • パリ大会でのサムソノフ