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 ヨーロッパ選手権直前に父の死で棄権したドイツのパトリック・バウムの記事はすでに書いた。
 ところが、その死の真実がドイツ卓球界を揺るがせている。

 新聞やインターネットに掲載された記事を要約するとこうだ。
 バウムの父は卓球プロコーチだった。地域の担当コーチとして有名な人で、特に二人の子どもの指導には「クレイジー」がつくほど熱心だった。その指導を受け、二人の子どもは強くなっていき、弟のパトリックは、世界ジュニア優勝、ヨーロッパ選手権準優勝、世界選手権の団体メンバーに入るなど、ドイツを代表するトップ選手に成長した。
 ところが、その父からパトリックは最近になって離れようとしていた。「親離れ」とも言えるが、パトリックのロシア人の彼女の存在が見え隠れする。宗教団体で活動している彼女の影響なのか、パトリックは父から離れようとしていた。そしてその衝突が本格的になっていた矢先、父は交通事故で亡くなったのだが、普通の死ではなかった。
 なんと父はまず他人の車を盗んで逃走。途中でほかの車に乗り換え、途中で警察が道路を遮断する体勢をしいていたのだが、それを振り切り、反対車線の車に突っ込み、亡くなった。つまり盗難という犯罪を起こした末の死だった。これには、パトリックとの親子関係悪化からやけになった父が自暴自棄になり自殺したという節もあるし、元々精神病で苦しんでいた父が、そのせいで錯乱状態になり、事故を起こした説もあるが、本人が亡くなっている以上、推測しかない。バウムの父にとってパトリックが人生のすべてだったのかもしれない。その息子からの反発を受け、精神的に病んでしまったのか。
 まるでアメリカのムービーのようにヘリコプターが上空から撮影するわ、警察が追いかけるわで、世間を騒がせる事件となった。ちなみに、その事故の間、何も知らないパトリックはブンデスリーガで試合をしていたという。

 当然のことながら、強いショックを受けたバウムはヨーロッパ選手権を欠場しただけでなく、その後ブンデスリーガを欠場している。
 
 日本にも親が子どもをコーチする「親子鷹」はいる。子離れ、親離れの問題。親子の確執など、他人事とは思えないような事件だった。
  • 写真は2013世界戦パリ大会時のバウム。オフチャロフを破ってベスト8だった