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 すでに日本全国では来年1月の全日本選手権大会の予選が始まろうとしている。
 今年1月の全日本選手権大会で、選手が最も混乱したのは「プラスチックボール」だった。思い返せば、去年9月の日本卓球協会理事会で、使用ボールは1社のみの「入札方式」が採用されるかと思いきや、公認球すべてを選球できるという従来のやり方で決着した。

 その結果、多くの選手が戸惑った。あの時点で各メーカーのプラスチックボールのバラツキ(弾み・感触)が大きかった。選手同士の選択したいボールが違う場合は、ジャンケンで選球の権利を得るのだが、そのジャンケンによって、試合の行方が左右されることになったのだ。
 全日本選手権に出場するような選手でも、普段の練習ですべてのメーカーのプラスチックボールを試していないために、得手不得手のボールが発生した。試合でのパフォーマンスを気にする前に、選手たちはボールやジャンケンに神経を使うことになった。

 多くの選手から「来年は是非1社のボールにすべきだ」という意見が出た。そうすれば大会前から集中して大会使用球で練習できる。「ボール選びが戦術の一つになるのはおかしい。来年からはボールは1種類にして欲しい」と男子シングルスで優勝した水谷はインタビューでも答えている。

 日本卓球協会はおそらく9月19日の理事会で、来年1月の全日本選手権での使用ボールに関する結論を出すことになるだろう。
 常々、協会は「プレーヤーズ・ファースト(選手を優先する)」という考え方を掲げている。選手優先で考えるなら、世界選手権や五輪、アジア選手権、ワールドツアーで行っているように大会使用球は1種類にすべきだろう。
 協会は、ボールの公認制度を実施しているために、全日本選手権ではすべての公認球を選手が選べるようにするという建前を持っている。しかし、今や世界が注目する全日本選手権大会で数種類のボールが使用されるのは滑稽としか言いようがない。
 「プレーヤーズ・ファースト」なのか、「メーカー・ファースト」なのか。理事会に出席する方々の知見と結論に注目が集まる。 (今野)

*写真は前回の男子シングルス決勝。「ボールを1種類にしてほしい」というチャンピオン水谷の切実な声は協会の理事に届くのだろうか