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 地元に密着し、地域に貢献している日本リーグのチームもある。しかし、多くは企業の中で社員の士気高揚という目的で卓球部での活動に励んでいる。
 日本リーグはアマチュアリーグなのだから観客数を気にしなくても良いとも言える。企業チームとして観客数ではなく、地域に貢献して企業の卓球部として価値を高めることがチームの存在意義になるのだろう。
 ところがプロリーグはそうはいかない。観客数が少なくてはスポンサーも集まらないし、入場料収入も集まらなくてはクラブの収入が減り、選手へ報酬が払えない。そして日本リーグのチーム以上に、地域に密着し、町おこしをしながら賛助を求めていくことが重要なのだ。
 簡単な道のりではないかもしれないが、卓球界にとって起爆剤になる可能性はある。すでに卓球界の中での少子化は始まっている。中学での部活チームも減ってきている状況で、地域に密着し、卓球というスポーツを世間一般の人に知らしめていくいくための方法のひとつがプロリーグかもしれない。
 それはつまりプロ選手のための生活の場というだけのプロリーグではなく、日本全体に卓球を広げていく社会活動でなくてはならない。

「卓球のプロリーグは広い視野に立って言えば、卓球界だけのためではない。卓球というスポーツによって地域に貢献し、活性化させていく。子どもたちにも夢を与える。子どもから80歳を過ぎたお年寄りの方までできるのは卓球ならではの特性。卓球を広めることが日本の人が健康で過ごせることに貢献できるし、その部分で卓球のプロリーグは貢献できるはずです」(プロリーグ設立検討準備室の松下浩二室長)

 松下室長が言うのはビジョン(将来構想)であり哲学だ。抽象的に聞こえても、このビジョンがプロリーグには必要になる。具体性がないと指摘されていても、重要なのはビジョンと哲学だ。それはこれからの卓球界を支える子どもたちへのメッセージでもあるのだ。

 日本のトップクラスの選手からは、「プロリーグはいつできるんですか? 本当にできるんですか?」と聞かれる。彼らはプロリーグ設立に大きな関心を寄せている。
 日本の企業スポーツとしてプレーしても年2回の日本リーグ、実業団選手権や社会人選手権、そして全日本選手権と試合は限られている。仕事をやりながらのアマチュア選手ならばそれでも十分だろう。しかし、プロ選手としてはあまりに稼ぐ場が少なすぎる。そして自分の腕を磨く場が少ないために海外に活躍の場を移す選手が増えていくのだ。
 今シーズン、23人の日本選手が海外リーグに参戦している。試合数限定でプレーしている選手もいるが、そこで生活し、毎週のように試合を繰り返す環境に身を置いている選手もいる。なぜこれほどの日本選手が旅立つのか。
 理由は簡単だ。
 日本にはプロリーグがないから。 (続く/今野)