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 3月24〜26日に奈良で行われたホープス選抜を取材した。各県代表の小学生選手たちが見せるプレーは、ハイレベルのひと言。台上からの緩急を交えた駆け引き、中陣での豪快な打ち合いと、目を見張るプレーの連続だった。しかも各県の選抜チームは、複数のクラブの選手で構成されている。それだけ育成力のあるクラブが多いということだ。卓球ニッポンの底力を見た。

 一方で、卓球にあまり縁がない子どもたちがラケットを握る場として、昔から「児童館」という存在がある。3月28日、東京都北区の滝野川体育館で開催された『北区児童館卓球大会』を見に行ってみた。今年で第38回を迎え、参加人数なんと600人以上。区内の25の児童館や、小学校内の課外活動の卓球クラブから子どもたちが参加していた。ちなみに北区は昔から児童館での卓球が盛んで、児童館卓球大会が定期的に開催されるのは都内でも北区だけ。卓球指導員が定期的に児童館での指導も行っている。

 子どもたちの歓声がこだまするアリーナで、卓球のウェアを着ている子はほんのひと握りだが、みんな懸命にボールを追いかけ、敗戦に涙する子もいる。午前が団体戦、午後が個人戦。団体戦は6単1複の1ゲームズマッチなので、強い子がひとりいてもどちらの児童館が勝つかわからない。ひとつの児童館から2〜30名が出場するので、8名の団体メンバーに入れなかった子は、観客席から声援を送る。

 ラケットは、児童館に備え付けのいわゆる「貼り上げ」ラケットで参加する子も多いが、お年玉を握りしめて卓球専門店に行き、マイラケットを買う子も結構いるそうだ。この大会に参加した子の中から、卓球に興味を持ち、地元の偉関TTLやワイワイ卓球といった卓球クラブに通ったり、卓球の強豪中学に進学していく子もいる。「児童館卓球」は様々な面で、卓球界に多くのプラスをもたらしている。

 子どもたちの放課後の遊びの場、学びの場となってきた児童館。しかし、運営の予算面の問題や、「小学校から児童館まで子どもたちだけで通うのは危ない」という声があることから、小学校の校内に課外活動の場を設ける方向へ変わりつつあるという。校内活動だと卓球ができるのも週に1回や2回になり、児童館のように好きな時に卓球ができるわけではない。卓球の普及に貢献してきた児童館卓球も転換期を迎えているのだ。(柳澤)。
  • 600名以上の子どもたちが出場した北区児童館大会

  • 各児童館、お手製の応援旗が大会の雰囲気を盛り上げた