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 全日本選手権大会使用球がタマスに決まり、選手はボールに頭を悩ますことなくプレーに集中できる。ボールサプライヤーが決定した後に、日本卓球協会の星野一朗専務理事と宮崎義仁常務理事に話を伺った。

星野一朗専務理事(以下星野)●去年の理事会では統一球(大会使用球を1球に絞る)は時期尚早という意見があったのですが、選手から聞いていくとやはり統一球でやりたいという意見が多かった。
宮崎義仁常務理事(以下宮崎)●ナショナルチームに聞いたところ、15名中13名が統一球にしてほしいという声が挙がってきた。協会が懸念したのは対メーカーだった。各社を回ったところ、選手の要望に応えるべき、という声だった。選手がそれを望んでメーカーもそれを承認するなら理事会でも反対する人はいません。満場一致で今回の入札に至った。
 今後、日本卓球協会が主催する全国大会での使用球は、たとえば小学生はこれ、中学生はこれ、高校生はこれというようにパッケージにして統一球にしようかという案があり、12月の理事会に(協議案として)かけていきます。来年度の全国大会の使用球は今年度中に決めるようにします。

宮崎●前回の全日本選手権のボール使用率を見たら、4社だけが使われて、残りの4社は0%でした。0%のメーカーが入札して抽選で当たったとしても再抽選しますよと申し上げた。
王国●当たっても再抽選ということは、最初から使用球をあきらめてくださいという意味ですね。
宮崎●そういうことです。
王国●協会が公認球を認可しているメーカーに対してそういう扱い方をすることは「公平性に欠ける」とは言えませんか? 使っている、使っていないと関係なく、メーカーを平等に扱うのが協会のあり方ではないですか?
宮崎●メーカーを等しく扱うという考えもあるし、選手が使ってきたボールを選手に使わせるという考え方もあります。プレイヤーズ・ファースト(選手優先)として、選手から「統一球にしてくれ」という声が挙がって、今回のこと(統一球の入札)を行うのに、選手が使っていないボールで大会をやりなさいというのも、プレイヤーズ・ファーストに反することだと思いました。
 平等性に欠けるというように見えるかもしれませんが、選手からすれば平等性を欠いているとは思わないでしょう。主催者からすれば、選手が一番使っているボールでやらせたいとも思う。顧問弁護士にも相談して、抽選(入札と抽選への参加)を拒否することはできない。抽選には参加させるけど、再抽選はあるということです。
王国●それが平等なんでしょうか。実質的には拒否していると同じように見えます。
星野●今回時間がない中で、思い切って統一球の実行を進めていく中で、前回の全日本選手権での使用球データを見た時にあまりにも使用されないメーカーが選ばれることがどうなんだという問題がありました。そういうメーカーが各都道府県にボールを供給できるのかという問題もありました。そうした場合、1回も練習できないで本番の大会でそのボールを使うことはプレイヤーズ・ファーストにはならない。今回は特別なルールを設けて、全日本選手権での使用率が数%を超えるメーカーに結果として限らせていただいた。
宮崎●そういった文言を書いたものを送り、メーカーさんが集まった会議でも一律みなさん納得していただいて、意見とか抗議はなかった。逆に感謝の言葉はありました。


王国●上限付の入札にしたのは使用率ゼロのメーカーが大金を張って使用権を獲得をすると困るという配慮ですか。
宮崎●それは違います。大会の使用球は選手がジャンケンをして決めてきたので、今度はメーカーがジャンケンをすべきじゃないかと考えたのです。
王国●それはおかしくないですか。入札なんだからジャンケンは必要ないのでは。ウエアのオフィシャルサプライヤーの入札も10月にありますが、それは上限はないですね。だったらボールも上限は不要な気がします。それが本来の入札ではないでしょうか。
宮崎●今まで大会のボールは協会が購入してました。1回目の統一球の時に、それがいきなり入札方式になり、青天井のような金額になるのは違和感があったということです。お金を持っているメーカーさんが入札を取る、それでよいのかという思いもありました。ただし2回目はその上限はないと思います。その代わり、いろいろなパッケージを用意して、他メーカーも他の大会の使用球を取ることになるかもしれません。 
星野●今回二つのハードルを設けさせていただきました。ひとつは全日本選手権に出場する選手数に応じて、(抽選で決まったメーカーは)各都道府県の加盟団体に無料でボールを供給してもらうこと。東京は20ダース、青森は4ダースというふうにです。もうひとつのハードルは、本大会まで150ダースを無償で出してもらうことです。


 若干複雑なプロセスではあったものの、これで全日本選手権は統一球になった。2大会連続、選手を苦しめた「複数の使用球」の問題はひとまず解決する。会場の照明問題や今回のボールの件といい、協会は「プレイヤーズ・ファースト(選手優先)」を掲げ、上から目線でなく、選手のことを考えている表れでもある。あとは選手がどう素晴らしいパフォーマンスで応えてくれるのか。今から「全日本選手権」が楽しみである。(今野)
  • 統一球や入札・抽選の件を説明する星野専務理事(左)と宮崎常務理事