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 「オフィシャルウエア落札」「1億円の報奨金」・・・日本の卓球市場をここ1年、2年、ヤマト卓球が突き動かしている。
 2010年に現役を引退した卓球界のレジェンド、松下浩二氏が社長に就任。その背景には松下氏の後見人とも言える明治大卓球部総監督の兒玉圭司氏の存在が大きかった。兒玉氏はヘアケアビジネスのスヴェンソンの創業者であり、当時の社長(現会長)だった。
 経営状況が困難だったヤマト卓球を買収し、スヴェンソングループの傘下に置き、松下氏が同時に社長に就任したのが『ヤマト卓球再起のストーリー」の始まりだ。

 ビジネス経験に乏しかった松下氏だったが、抜群の知名度でトップセールスを行い、ヤマト卓球をV字回復させ、売上げを倍増させた貢献は大きい。また社長就任1年後に、元もとのTSPブランドとともに高級路線のVICTASを立ち上げた。
 問屋、ショップへの高めの出荷価格(大幅なの値引きの抑制)、自身のブランド(たとえば松下浩二ラケット)のイメージアップを計る戦略だった。これはバタフライのやり方にも共通したものだったが、いかんせん商品力が弱かったのは否めず、爆発的な売上げの伸びは見られなかった。ユーザーからもTSPとVICTASの差別感がわからないという声が挙がっていた。
 とはいえ、会社全体としては順調に売上げを伸ばしつつ、国内での卓球メーカーの売上げはタマス(バタフライ)、日本卓球(ニッタク)、そしてヤマト卓球がほぼほぼ横一線になっている。

 そして、昨年1月に五輪代表の丹羽孝希(スヴェンソン)と新規契約を結んだヤマト卓球。トップ選手はタマスと契約し、テナジーを使うという卓球界の常識をまずここで覆した。これは元チャンピオンの松下氏の手腕と選手からの信頼度によるところが大きい。 そして、昨年の「日本代表のオフィシャルサプライヤー(ウエア等)」の入札では、破格の金額を提示し、日本男子のサプライヤーをヤマト卓球が獲得。しかし、その背景にはスヴェンソングループの資金面でのバックアップがあった。
 このあたりから卓球市場の流れは変わり始めていった。(続く)(今野)

  • 2010年1月に社長就任を発表した松下浩二氏とスヴェンソンの兒玉圭司社長(当時)