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 まさにロンドンには「ピンポン発祥の地」としての薫りが漂っていた。
 卓球=テーブルテニスではなく、まさにピンポンだ。
 1900年にイングランドのジェームス・ギブがアメリカでおもちゃのセルロイドボールを見つけ、それをイングランドに持ち帰り、それで食卓のテーブルで打ち合った。
 バトルドアと呼ばれる柄の長いラケット。この表面に羊皮を張った中空のラケットで打ち合うと「ピンポン」という音がした。それまでのコルク球やゴム球とは違う心地よさを見つけた。

 これが卓球の始まり。ピンポンのスタートだ。

 ロンドンのホルボーン駅。ピカデリー線とセントラル線の交わるこの駅から歩いて5分のところにある『バウンス(BOUNCE)』。近くには世界の金融界を動かすCITYがある。
 そんな一等地のとあるビルの地下に入ると異空間が広がる。17台を置き、台の横にはスタンディングでお酒などのドリンクを飲めるカウンターが配され、奥にはレストランもある。何ともカジュアルでハイセンスな作りだ。

 飲むことだけで中に入ることもできるのだが、多くの人は「ピンポン」を楽しみながら一杯やる。友人同士、会社の同僚などと連れだって夕方の6時過ぎくらいから集まってくる。
 狭い空間にイスやソファーがひしめき合うように置かれ、そこに卓球台がぽつんと置かれるような卓球バーとは違う。
 みんなが小さいバケツに入ったボールとラケットを片手に、台に着くやいなや打ち合う。卓球経験者はいない。でも笑いながら声を上げながら楽しんでいる。ウエイターやウエイトレスが10数名はいるだろうか。もちろんカウンターバーにはバーテンダーがずらりと並んだウイスキーやウオッカの瓶の前でシェークするし、次々とビールも運ばれていく。
 週末になると子ども連れの家族で賑わうという。

 1900年に始まり、1902年に世界中に熱狂的に広がったピンポンの原点がここにあった。当時、週末になると「明日、ピンポンパーティをしませんか」と仲間内にカード(招待状)配られたロンドン。
 人々はこのBOUNCEのようにピンポンを楽しみ、友人たちとの語らいに時が過ぎるのを忘れたのだろう。115年の時空を超えたロンドンのピンポン社交場。
 入り口の看板にはこう書いてあった。
 HOME OF PING PONG。  (今野)

  • 若い女性もいるし、その横ではスタンディングで仕事終わりの一杯を楽しむ人たち

  • 世界の金融を動かすCITYで働く人たちだろうか。シャツを腕まくりして楽しむ