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 「歴史的な大きな発表になる」というITTF(国際卓球連盟)の触れ込みだった、シンガポールでの記者会見。そこでは構想は語られたが、具体的なものはまだ見えなかった。

 昨年スタートしたT2 APAC(通称T2)。トップ選手を集め、画期的な試合のやり方で世界の卓球界に新風を吹き込んだイベントだった。数億円とも言われたその経済的なバックボーンはフランク・ジー社長の「シーマスター」。中国とシンガポールを中心とした海運業の会社だ。大の卓球ファンであるフランク・ジー社長はかねてから抱いていた「卓球の魅せる化」構想をT2で体現しようとした。
 それはスタジオを使ったショーアップと10台以上のカメラを駆使する映像、時間制限制とキルゾーンシステムによるエキサイティングな試合、10-10になってからのジュースなしのゲーム決定法、たくさんのボールを使ったマルチボールシステム、などの革新的なルールも実行した。試合はすべてYouTubeでライブ配信された。

 トップ選手のスケジュールやITTFとの調整を考えてか、その前に母体のシーマスターはワールドツアーのスポンサーにもなった。ところが、実質的にはこのT2にスポンサーや放映権を求める会社がついてこなかった。それが最大の誤算だっただろう。本来2シーズン目を迎える2018年に、T2はスタートできなかった。
 誰しも面白いと感じたイベントだったが、スポーツビジネスの難しさを感じさせる状況だった。

 そこでT2が打った次の手がITTFとのジョイントだった。「スポーツマスター」という組織にして、T2をITTFのイベントの中に組み込み、そこでの試合が世界ランキングにも反映されるというものだ。しかし、それが今までのようなチーム戦になるのか、個人戦になるのか、ITTFのスティーブ・デイントンCEOは言及しなかった。「これからテストを行い、良い方法を考えていく。重要なのは仕組みを作ることだ」と会見後にコメントした。

 ITTFとは別のプライベートイベントではなく、ITTFのイベントとして行うことで、まずスポンサー獲得が容易になり、世界ランキングが関係することで、よりトップ選手が集めやすくなるというメリットはある。
 結果として、T2で好評だった試合ルールがITTFの基本ルールを変えることも十分に予想できる。
 もしこのコラボレーションがうまく機能するならば、民間レベルでの興行が世界の流れを変えることに発展するかもしれない。
 T2に関する情報は今後も、卓球王国の誌面やWEBでお伝えする予定だ。
  • 昨年12月に行われたT2グランドファイナル

  • 男子シングルス優勝のボルとフランク・ジー氏