スマホ版に
戻る

トピックス

トップニューストピックス
 卓球の全日本選手権大会ホープス・カブ・バンビの部が7月27〜28日に行われ、注目のカブ女子では全日本チャンピオン張本智和(15歳・JOCエリートアカデミー)の妹、美和(10歳)が見事な優勝を飾り、テレビでも大きく取り上げられた。

 「あの『チョレイ』の張本の妹」という扱いで、ガッツポーズの時、どんな掛け声だったかまで質問されるのだから、スーパースターの妹は大変だ。しかし、実際には天才と言われる兄と比べた時に妹・美和の素質はどのくらいなのだろうか。

 兄の智和が小学4年生、5年生で全国大会で優勝を続け、周りも「天才」「怪物」と騒ぎ始めた頃、両親の言葉として「才能は妹の美和のほうが上かも」という情報が流れてきた。当時は、美和はまだ卓球を始めて間もない頃だっただろう。事実、初めて出場した全日本選手権バンビで優勝を飾り、兄を超える才能の片鱗を示していたのだが、その後、2年連続でバンビとカブでは全国優勝を果たせなかった美和。

 卓球では才能を見極めると言っても、ある程度、練習をこなした状態でないとその子の才能は判断できない。もちろん、まれにラケットを持って間もなくボールをうまく返す特別な感覚を持っている子どももいる。それは水谷隼(木下グループ・五輪メダリスト)であったり、張本智和だった。
 彼らと類似した才能を示した子どもは過去にもいたが、年数が経つほどに天才から「普通」になっていくのが常だ。天才を維持できる本物の天才は極々まれだ。
 
 また、トップ選手の兄弟・姉妹の構成を見てみると興味深いことがわかる。女子の卓球選手で言うと、石川佳純は二人姉妹の長女、伊藤美誠(スターツ)はひとりっ子、平野美宇(日本生命)は3人姉妹の長女。男子では水谷隼は3人兄弟の次男、丹羽孝希(スヴェンソン)は3人姉弟の長男(2番目)、吉村真晴(名古屋ダイハツ)は3人兄弟の長男だ。
 過去に、兄や姉が活躍したり、チャンピオンになった際に、その指導者から「いや、実は彼(彼女)の弟(妹)のほうがもっと才能がある」という言葉を良く聞いた。しかし、実際には数年経っても、弟や妹は兄や姉を追い越せないまま、終わってしまうケースが多いのだ。

 弟や妹は、兄・姉の姿を小さい頃から練習場でよく見ている。それは見取り稽古のようでもあり、実際にボールを打っても習得は早い。そこで親や指導者も「この子は上の子よりも才能がある」と思ってしまう。
 ところが、そこからの集中力の持続や勝負への執着心などが上の子と下の子で違うために、結局、大成しないで終わってしまうケースが卓球界では少なくない(今野)。

(後編に続く)
  • 全日本選手権カブの部で、3大会ぶりの全国優勝を果たした張本美和