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 話を張本美和に戻そう。3年前にバンビで全国優勝した後、2年連続決勝で敗れた時には「実は美和は天才ではなく、過大評価だったかも」という空気が流れた。本当の天才というのはいったん優勝すると勝ち続けるからだ。
 親も認めていた美和の才能だが、親への甘えを断ち切るためなのか、今年に入って孫雪コーチを専任でつけ、美和は厳しい練習に励んだ。その結果、つかんだ全国優勝。しかし、その練習の質と彼女自身の才能を考えれば、今回の優勝は通過点でしかないだろう。
 そして、張本美和自身の本当の才能はもう少し時間をかけなければ見極められない。しかも、その才能の質が「天才」と言われるものなのか、それとも「上質の才能」程度なのかは、今の時点では断定できないだろう。

 テレビなどのマスコミはすぐに天才と言いたがる。それは視聴者をひきつける常套手段の言葉選びだ。卓球界では、マスコミがつけた元祖「天才卓球少女」は福原愛だった。しかし、福原を知る卓球関係者は口を揃えてこう言う。「福原は天才ではなく、努力の人」。身体的にも恵まれていない。ボールセンスが際立っていたわけでもない。3歳から必死でボールを打ち続け、築き上げてつかんだのが全日本チャンピオン、五輪メダリストという成績と称号だった。
 福原と比べれば、張本美和のほうがはるかに才能を持つ選手と言えるかもしれない。

 卓球界での天才の条件と天才たる現象というのは、美和の兄の智和がそうだったように、飛び級で上のカテゴリーでも勝てるようになることだ。各年代での優勝というのは指標にはならない。少年少女時代にプロコーチについて練習量をこなせば、どの選手も相当なレベルに到達してしまう。そこで天才たるレベルを推し量ることはできない。
 しかし、ある時期に、上のカテゴリ−で小学生の美和が中学・高校生に勝ったり、中学生になった美和が一般のクラスで勝つようになれば、それが本物の資質の表れと言えるのではないか。

 今しばらく張本美和の戦いぶりを観察してみよう。もし本物の才能が見えてくれば、新たな「日本卓球界の至宝」として、石川佳純・伊藤美誠・平野美宇・早田ひなに次ぐ、新たな黄金選手になり得るだろう(今野)。
  • 美和の兄・智和は、「飛び級」で上の年代の選手を次々に破ってきた