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 世界のトップ選手だけで競うT2ダイヤモンド(シンガポール)の決勝で、宿敵・孫穎莎(中国)にマッチポイントを握りながら逆転負けを喫した伊藤美誠選手の試合後のインタビュー。

●伊藤美誠のコメント
・・・試合を終えてどうでしょう?
「今日は30、40%の力でここまでできた。スマッシュとか自分の良さが少し出しづらかった。スマッシュが入る時は自分らしいと思う時だし、自分が前に行けている時には良い展開で、今調子が良いなと思える。いろんな技術が出しづらかったり、相手はラリーに持ってきている、相手が攻めてきたいんなだというのが、今日の試合はわかりやすかった。その中で、自分の卓球がやりにくかった。でも0−2から2−2に追いついて、孫選手と競れることは少し前まではあり得ないこと。
 本当に自分が30、40%だと前は1ゲームも取れないくらいの差があった。今は自分の卓球がしづらくてもここまで競れるようになったのはすごく自信になります。もちろん満足はしてないけど、自分の卓球をできるようにしたら勝てるんだなと思えた。負けたけど自信がついた試合でした。
 毎回、毎回やるたびに『これは強いわ』『あ、やられた』というのがあったけど、前よりも絶対取れないというボールはなくなりました。だから打ち合いにもなれるし、パワーボールも打ち返せるようになって、これからの自分自身が楽しみです。孫選手はこれからも上がってくる選手なので、彼女に対応できるようになりたい。彼女の持っている技術を出されても勝てるように余裕を持って戦えたら良いなと思えました」

・・・最後の1本(4−4)はどういう心境でしたか?
「チームワールドカップの時より気楽でした。あの時も10−7からだったし、あの場面を経験したら今日は勝てるかと思ったけど、そんなに甘くはなかった。展開としては悪くなかった。サービスの瞬間はなかったけど、3球目攻撃の瞬間、『あ、これはミスる』と思いました。孫選手にミスを誘ってもミスをしないから、自分が決めるというか、相手に強いボールを打たせたくないので、ちょっと無理に行ったかなと。1本の取り方は大事。でも、その1本の試合って、T2しかない。この接戦を経験できたT2の試合に感謝しています。この試合を抜ければ、どんな試合でも自信を持って戦える」

・・・この短期間で孫選手が変えてきたことはありましたか?
「面白いのが、前回の試合で効かなかったことが今回効いている。この前よりも今回のほうがいろんなことが効きました。組み立てや、どの場面で何をするかによって効いたり、相手はミスをすると感じました。接戦になって効くこともあるので、改めて面白いと思いました。孫選手もいろんな打ち方をしてきて、毎回毎回、打ち方が増えるのでやっていて面白い。まだあるのか、まだあるのかという孫選手の引きだしを毎試合見れているので、幅広いなと思います。オリンピックまでにはすべてを出し切ってもらえるように自分が頑張りたいと思います」

・・・自分の安定感や成長を感じる部分は?
「目の前の1戦1戦で自分の実力を出し切って勝つことを目標にしています。1回戦で中国選手と当たっても良いようにしっかり練習してきている。グランドファイナルまでしっかり実力をつけたい。大会ごとに試合が自分の伸びしろを感じさせてくれる。まだまだ上に上がるチャンスはあるし、何でもできる選手になりたい」

・・・孫選手が引き出しを出してくると言いましたが、それによって自分の力を引き出されることもありますか?
「ありますね。孫選手はほかの選手が持っていないような技術を持っているし、彼女のおかげで、まだこれに対応し切れていない、こういう打ち方があるんだとか、まだまだ練習しなければいけないと思うし、自分の中でレベルアップできている」

・・・今回、30、40%と言うけど、残りの60、70%は何ですか?
「睡眠です(笑)。こっちにきて湿気で、寝ても1時間で目が覚めたりとか、深く寝れていない。今日も10分昼寝したら、その10分でもいびきをかいて気持ちよかった。眠りが浅くて、日々疲れが出てきて、決勝の後も階段上るのもきつかった。でも、前よりも体力がついていることも自覚しています。今回も3大会連続でやったけど、オリンピックでも3週連続はあると思うので、最後の決勝戦で120%を出し切るのを目標にして頑張りたい」

・・・睡眠の割合が大きい(笑)。60、70%は技術的なことだと思いました。
「大きいですよ(笑)。睡眠は本当に大事。睡眠とれば頭の回転も良くなるし、さらに足も動くし、足も動けば自信になる。全部つながっている」

・・・孫穎莎に対する手応えがあったとは言え、やはり2試合連続、マッチポイントを奪ってから逆転で負けた。
「今回のT2の試合は精神的に鍛えてくれる試合だと思ってました。5点勝負とか、ジュースがなく、10−10からの1点勝負と、普段の試合ではあり得ないルールだから、そこを取れるかどうか、精神面を鍛えてくれたのがT2。もちろん5本勝負のほうが中国には勝ちやすい。ただ、強いて言えば、チームカップの時のほうがもっと勝ちたかった。
でもチームカップの敗戦が今回生かされたと思う。孫選手だけじゃなくて、田志希選手の試合でのラスト1本をどう取るかというのは、チームカップでの孫選手との試合が生きた。さらに今回の試合は次につながる試合ができた。グランドファイナルや来年の試合が本当に楽しみになりました」