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 8月に行われたドーピングテストで禁止薬物「クレンブテロール」が陽性反応を示し、ドイツ卓球協会から暫定的に試合への出場を停止されたドミトリー・オフチャロフ(下写真)。毛髪などの検査が行われた結果、ドイツ卓球協会は「オフチャロフは違反に該当しない」として、10月15日にオフチャロフの出場停止の解除を発表した。オフチャロフを襲ったドーピング・スキャンダルは、収束したかに思われていた。

 しかし、12月9日、世界アンチ・ドーピング機関(WADA)がオフチャロフとドイツ卓球協会に審査のやり直しを求め、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴したことが明らかになった。スポーツ仲裁裁判所が出場停止処分に相当すると裁定すれば、最悪の場合、ドイツ卓球協会はオフチャロフに2年間の出場停止処分を下さなければならない。来年5月の世界選手権個人戦はもちろん、2012年のロンドン五輪にも出場できなくなる。

 オフチャロフと同じようなケースでは、スペインの自転車のスター選手であるアルベルト・コンタドールもクレンブテロールが陽性反応を示し、やはり食肉汚染によるものだと主張している。コンタドールに対する処分はまだ決定していないが、クレンブテロールが微量に検出され、食肉汚染の可能性が指摘されていたにも関わらず、2年間の出場停止処分を受けた自転車選手もいる。
 ドーピングが故意であるかどうかを判断するのは非常に難しい。WADAとしては「疑わしきは罰する」とまではいかないが、ドイツ卓球協会のあまりに早い出場停止の解除に「待った」をかけたということか。食肉への汚染が指摘されるクレンブテロールについては、これからも様々なスポーツで、陽性反応を示す選手が出てくるだろう。オフチャロフに対するCASの裁定が、ひとつのガイドラインとなるかもしれない。