卓球王国が全日本選手権のランカー(ベスト16)の使用用具を記載するようになったのは、創刊されて3回目の全日本取材からだ。98年12月開催の全日本選手権からだった。
それは今思えば画期的なことだった。それまで、メーカー情報誌では契約選手の用具は公表しても、それ以外の選手の用具には触れないし、タブーだった。そのメーカーの用具を使っている人だけが登場したり、中には撮影用に貼り替えたり・・というウソのような話を聞いたことがある。
卓球王国が全日本上位者の男女32名の使用用具を掲載した。
世の中の用具オタクや中・高校生が泣いて喜ぶようなページだったに違いない。
ところが、問題が発生。それはメーカーと契約している選手が、そのメーカーのものを使用していないケースがあったからだ。それを書いてしまうと、選手が契約打ち切りだと言われてしまい、生活にも影響を与えることになってしまう。困った。
そこで、そういう場合は、あえてメーカー名を入れない表記にするしかなかった。メディアとして、公表したいのはやまやまだが、選手の生活を脅かすのは本意ではないからだ。(ただそのメーカー名を入れない時点でバレバレだが・・・)
結果として、「全日本報道で卓球王国が使用用具を公表する」ことが選手やメーカーにも浸透していくことになる。
最近では、男子においてバタフライがテナジーで寡占状態。これほどの広告効果のあるページはないだろう。他メーカーからすると目障りにも思えるページで、「あれだけの独占だったら、やる意味ないから、あの公表スタイルは不要かも」という意見も出てくる。
しかし、用具マニアや他メーカーの奮起を期待するためにも続けていくべきなのか。卓球市場は生き物だ。いつか「テナジー超え」を果たすラバーが出現して、使用用具の傾向が変わるかもしれない可能性もあるのだから。その時には読者はそこを知りたくなるだろう・・。