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世界選手権ザグレブ大会(個人戦)

 国際卓球連盟の理事会(board of directors)で昨年に続き討議されたスピードグルー(揮発性有機溶剤入り接着剤)の禁止時期は、玉虫色となった。理事会終了後のグルーに関するプレスリリースにすべての人が首をかしげた。
 プレスリリースでは以下の通り。

 グルー禁止の事項とグルーをテスト(検査?)する事項は分離することを決定した。
 すべての選手が揮発性有機溶剤入り接着剤を直ちにやめることを決めた。「この決定はすぐに実行されるがそれは選手の健康に影響があるからだ。我々は選手の健康を考慮しなければならない。事実、日本ではアレルギー性ショックで選手が入院するという事態が起きている」とシャララ会長は語った。
 ただし理事会は北京五輪やビッグイベントの準備もあるし、健康への危険性はかなり低いという面もある。テストを始める時期は、2008年9月1日からになった。(投票の結果、28対12で、使用を継続)「ただし2回目の事故が起きた場合、もしそれが選手にとても危険なケースとなった場合は、ただちにグルーテスト行う」(シャララ)「もし選手が部屋を換気し、正しく使うならばとても小さな危険性だと言えるだろう」
また、ジュニア委員会では2008年1月からは、ジュニアの大会で有機溶剤入り接着剤を禁止することを決定した。

解説
2日前にシャララ会長は記者会見で、「日本での事故を重く見て、選手の健康に危害を与える可能性あるのならすぐに禁止したい。2008年ではなく2007年9月1日以降の使用禁止にしたい。今回の日本の事故を最初で最後にしたい。ただ用具関係の決議は理事会決定だが、会長としては2007年9月という希望を持っている」と異例のコメントを発していたが、結局、理事会では北京オリンピックを控えていることと、健康を害する危険性が低いというということで、玉虫色の決定となった。「グルーをやめるように勧告する」というのはどれほどの強制力があるのか。やめることを勧告するがテストは2008年8月末まではしない、ということはどういうことなのか。
 大会2日目には卓球メーカーを集めた緊急ミーティングでシャララ会長は、スピードグルーの危険性を懇々と説明。理解を求めた。そして、翌日の記者会見では、会見のほとんどをグルー禁止のいきさつ、理由を記者の前で語った。その決意は相当強いことを示した。「理事会での決定は5分5分」と言っていたが、ふたを開けてみれば、大差でグルー禁止の前倒し案は却下され、その代わりにジュニア大会での禁止を早めた。さて、日本ではどのように「ジュニア禁止」を実行するだろうか。最近ではジュニア選手がシニアの大会に出るケースは多い。選手の混乱は避けたいところだ。
 もちろん、2度目の事故を待つわけにはいかない。しかし現実として、日本での事故によって国内の関係者に与えたショックと、国外の理事や関係者の間には温度差がある。いずれにしても、接着剤による余計な手間や心配、サプリメント(接着補助剤)を使う、使わないという部分ではなく、真にスポーツアスリートとしてコートで戦う競技に、卓球がなっていくことを望みたい。