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フォルクスワーゲンオープン

 6月21~24日まで、千葉・ポートアリーナで開催されるフォルクスワーゲンオープン荻村杯。
 今年は10年ぶりの千葉での開催となる。ちなみに10年前のチャンピオンは男子がワルドナー(スウェーデン)、女子が先月のザグレブ大会でベスト8に入った王晨(アメリカ/当時は中国)。

 今年のITTFプロツアーは、来年8月の北京五輪に向けて、どの選手も非常に気合いが入っている。プロツアーで好成績を挙げることが、来年1月発表の自動出場枠の獲得に直結してくるからだ。そのプロツアーの中でも荻村杯はもっともレベルが高く、中国チームがわざわざ超級リーグを中断して参戦してくるほど。

◆男子は中国vs.韓国、そしてヨーロッパの王者・ボル 水谷の活躍は?

 男子の有力な優勝候補は、ザグレブ大会でも確実にベスト4入りした中国の最強スリートップ、王励勤・馬琳・王皓の3人。オリンピックの中国代表3名も、すでにこの3人で確定した感がある。この3人の優勝争いになれば、やはり現世界チャンピオンの王励勤が安定感で上回りそうだ。中国は陳杞・馬龍・ハオ帥の若手3人にも優勝のチャンスがあり、特に馬龍は超級リーグで開幕からシングルス6連勝と好調。不調だったザグレブ大会の名誉挽回を期す。
 中国の対抗馬となるのは、やはり韓国か。ザグレブ大会準決勝で王励勤と大会随一の激戦を演じた柳承敏は、王皓や馬琳に対しては分が悪いものの、大当たりすれば中国選手とも互角の勝負ができる。もうひとりのエース・呉尚垠は集中力次第という部分もあるが、最近は成績も安定してきている。カット主戦オールラウンド型の朱世?も中国選手にとっては嫌な相手だ。
 対するヨーロッパ勢は、世代交代が進まず、ボル(ドイツ)ひとりに頼る状況が続いている。ヨーロッパで優勝候補と呼べるのはボルだけだろう。しかし、プリモラッツ(クロアチア)、コルベル(チェコ)、シュラガー(オーストリア)といったベテランも、トーナメントを勝ち進むのは苦しいが、1試合あるいは2試合なら、往年の実力を発揮できるはず。総力戦でアジアの壁に挑むことになりそうだ。
 日本選手では、水谷隼・松平健太(ともに青森山田高)のプレーが楽しみ。ザグレブ大会での活躍で、久々に卓球ファンの目を男子種目に向けさせた感がある。中国選手に対する苦手意識もないはずだ。ベスト8以上を狙いたい。

◇女子は中国の厚い厚い壁。日本は風穴を空けられるか?

 女子は世界ランク1位の張怡寧、2位の王楠、3位の郭躍、4位の郭炎、5位の李暁霞と、トップ5を独占する中国が圧倒的な強さ。しかし、6月9日に開幕した超級リーグでは、張怡寧・郭躍・郭炎が格下の選手に敗れており、まだザグレブ大会の疲れが残っているようだ。パワーとスタミナがある李暁霞にも優勝のチャンスがあるだろう。
 女子種目はこの最強・中国を相手に、誰が番狂わせを演じるのかが最大の焦点になる。ヨーロッパは、現時点では残念ながらノーチャンス。アジアでも、世界ランク7位のリ・ジャウェイ(シンガポール)、同9位の金キュン娥(韓国)は中国相手だとかなり苦しい。日本以外で中国を苦しめられるのは、昨年度優勝の王越古(シンガポール)、そしてダークホースとして、韓国の若手・李恩姫を推したい。李恩姫は貴重なペン表速攻型で、ザグレブ大会ではボロス(クロアチア)とリ・ジャウェイを連破。バックハンドにも威力がある選手だ。
 日本女子はザグレブ大会で予想外の不振だったが、福原愛(ANA)を筆頭に、北京五輪の団体戦でも、有力なメダル候補であることに変わりはない。福原や福岡春菜(中国電力)は中国のトップ選手を破った実績もある。まずは中国選手と当たるまで、取りこぼしをしないことが大事。期待の14歳・石川佳純(ミキハウスJSC)は昨年も見事に決勝トーナメントに進出している。ひとつでも多く試合をこなして、貴重な国際舞台での経験を積んでもらいたい。