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第5回世界ジュニア選手権大会

 男子団体戦で優勝した中国。その中国に勝った選手は3人いる。ひとりはイングランドのドリンコール。久しぶりにイングランドから強い選手が出てきた。これからシニアで活躍するだろう。そして韓国の中国帰化選手、丁祥恩。
 唯一、中国から2点取ったのがフランスのサリフだ。アフリカ2世の18歳。以下は今朝、フランスのミッシェル・ブロンデルコーチから聞いた話だ。
 現在、パリのINSEP(ナショナルトレーニングセンター)にいるサリフ。12、13歳の時から協会が彼をサポートしてきた。技術的にはまだまだ、しかしその身体能力と潜在能力はだれしもが認めるところだ。フランスオープンでは予選リーグで松下浩二に勝っている。
「両親はアフリカ生まれでフランスへの移民。サリフは学校が嫌いな少年だった。学校が好きでないのではなくhate、嫌い、憎い存在だった。そんな彼を救ったのは卓球だ。卓球は彼の人生そのものと言っていい。卓球がなかったら路上で生活していたかもしれないんだから」(ミッシェル)。ほかの男子コーチやミッシェルはサリフを私生活からサポートした。学校を憎んでいたサリフをなだめすかして学校に行かせる。「そうでないとフランスではなくアフリカ的な生活になるから」(ミッシェル)。最終的には学校に通い「バカロレア」(大学入学資格を得るための統一国家試験)を取得した。テストの結果が出るたびにサリフはコーチに見せに来たという。「彼は賢い。頭の良い選手だ」「フランスには才能ある選手は少ないが、わずかな選手をコーチたちが大切に育てていく。彼もアップダウンが激しい。団体で中国選手に勝ってもシングルスでは1回戦で負けるかもしれない。でもコーチとして一緒になって激しく怒ってみたり、落ち込んだり、ほめすぎてもいけない。常に冷静に彼のプレーと生活を見ていかなければならない」。会場にいても常に選手と対話しているフランスのコーチたち。有望選手が少ないだけに選手とコーチの関係は濃密なもののように映る。