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第5回世界ジュニア選手権大会

この大会を見ていると世界の未来図が見えてくる。どの協会がジュニアにどのくらい力を入れていて、どんな人が教えていて、どのような有望な選手がいるのか、が見えてくる。ここでジュニアの世界地図を広げてみる。

・ 中国 今回の派遣された選手は国家チーム代表ということだがレベルはさほど高くない。昨年活躍し、出場資格のある徐克はいなかったが、今回の代表の中で将来1軍に入るのはせいぜい男子のエースの許鋭鋒くらいか。もちろんそれぞれレベルは高いのだが、中国の場合は年齢を額面通りに考えられない。2,3歳年が違うのは当たり前だからだ。全員が卓球は完成されているのだが、ある意味個性がない。同じフォームで同じ戦術を使ってくる。女子では木子、文佳は1軍に入るのは難しい感じがする。今回は前女子監督の陸元盛が帯同していたが、しつこいようだが、もう少し選手としての基本的態度も教育して欲しかった。

・ 韓国 男子の丁祥恩、徐賢徳あたりが一般でも力をつけることができれば1軍予備隊になる。トップクラスの肉体派の卓球はジュニアではあまり強調されない。むしろテクニックのある技巧派のようだが、20歳前後から急に伸びる傾向があるので、今の段階で判断するのは難しい。女子はきらりと光る逸材はいなかった。協会や強化関係がゴタゴタしている韓国の今後の選手育成はどうなるのだろう。

・ ドイツ 2年前のバウム、昨年のオフチャロフのようなドイツ代表になるような選手はゼロ。レベルは低かった。しばらくオフチャロフに頑張ってもらうしかないが、ボルのあとは相当に苦しい。

・ イングランド 男子のドリンコール、ナイトが有望株。この二人は古豪イングランドが待望していた才能ある若手。特にドリンコールはこれからのシニアでの活躍が期待される。クック(90年ヨーロッパ選手権ベスト8)が強化担当になっている。

・ スウェーデン ワルドナー、パーソンのあとは未だ有望な選手がいない。元世界ダブルスチャンピオンのフォン・シェーレがジュニアコーチで頑張っているが……、クリスチャン・カールソンが何とかやれるか、というレベルだ。

・ ポーランド ジュニアコーチは暴れん坊で有名だったクハルスキー。めぼしい若手はいない。女子では藤井に勝った隻腕のパルティカが強い。

・ フランス 充実したスタッフが若手をケアしている。強化本部長はガシアンを育てたミッシェル・ガダル、その下でジュニア発掘・育成を担当するのがミッシェル・ブロンデルのミッシェルコンビだ。選手の私生活から親身にケアするのがフランス流。サリフが強くなりそう。13歳のゴジも才能がある。考え方もフレキシブルで数年後のヨーロッパでは、このフランスとドイツで覇権を争うのではないだろうか。

・ルーマニア シュテフのあとに間が開いたが、久しぶりに飛び出してきたのがサマラだ。ヨーロッパのトップクラスにあと2,3年であがっていくだろう。この国はクラブでの選手育成がうまく、伝統的に女子の強い選手が出てくる。

・ 日本 さて我が日本だが、他の協会がうらやむほどの才能ある選手が豊富。今回来ていない中に松平健太もいる。男子では上田の急成長が収穫で、女子ではやはり石川の才能が光る。しかし、これらはどちらかと言えば、母体で強くなって、それをJNTが拾い上げているのが現状。協会が強くした選手とは言えないだろう。(もちろんチャンスは与えているが……)今後、ナショナルトレーニングセンターができたらどう強化されるのか、母体とどう協力して若手を強くしていくのか、というビジョンとプランを早く発表して欲しいものだ。

写真は上田、サリフ、サマラ