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全日本卓球選手権大会

 女子シングルス決勝、平野早矢香は一度もゲームの流れを樋浦に渡すことなく、圧巻の強さで優勝を決めた。樋浦がリードを奪ったのは、第3ゲームの4-3、6-5の2回だけ。第1ゲームのラブオールからいきなり回り込み、フォアドライブで得点した平野に対し、樋浦は持ち味の回転半径の大きいフォアドライブとフットワークが陰を潜めた。

 両選手とも同じミキハウスの所属で、決勝はベンチコーチはなし。じっと一点を見つめ、サッとコートに出て行く平野に対し、樋浦はタオルで汗を拭い、何か迷い続けているように見えた。第3ゲームの競り合いを、平野が回り込んでのフォアドライブとレシーブドライブで決めると、第4ゲームは完全にワンサイド。3-1、5-1、7-2とリードを広げる。
 圧巻は9-3からの一本。樋浦のボールがネットインし、平野がやっと返球してネット上に高く浮いたボールを、樋浦がパワードライブ。平野のミドルを突いた、目にもとまらぬこの一球を、なんと平野はフォアのカウンターブロックでクロスへ打ち返して得点。観客から「オオーッ!」というどよめきの声が上がる。ゲームカウント3-0の9-3でも、全く気を緩めることのない全日本女王の、信じられない集中力。そのまま平野が11-3で優勝を決めた。
 
 樋浦も、準々決勝で石川に悔しい敗戦を喫した昨年度大会から、選考会で好成績を収めて世界選手権ザグレブ大会に出場し、今大会では初の決勝進出。決勝での戦いぶりには悔いが残る部分もあるかもしれないが、価値ある準優勝と言えるだろう。
 それにしても、優勝者インタビューにもあるとおり、全日本はこの5年間で4度目の優勝。強い強い平野早矢香だった。