卓球を始めた中学生の頃から、世界選手権に対する異様な憧れをもっている。地理や歴史の年代と地名はさっぱり覚えられないのに、世界選手権の開催年と開催地、男子シングルスのチャンピオンは覚えようとしなくても覚えてしまう。ヒマで、しかも読む本がないような、どうしようもないときなど、それらを復唱したり紙に並べて書くだけで楽しいのだ。時刻表を見るだけで楽しい鉄道マニアと同じである。ここでそれを披露しておく。
1952年 ボンベイ 佐藤博治
1953年 ブカレスト シド
1954年 ロンドン 荻村伊智朗
1955年 ユトレヒト 田中利明
1956年 東京 荻村伊智朗
1957年 ストックホルム 田中利明
1959年 ドルトムント 容国団
1961年 北京 荘則棟
1963年 プラハ 荘則棟
1965年 リュブリアナ 荘則棟
1967年 ストックホルム 長谷川信彦
1969年 ミュンヘン 伊藤繁雄
1971年 名古屋 ステラン・ベンクソン
1973年 サラエボ 希恩庭
1975年 カルカッタ イストバン・ヨニエル
1977年 バーミンガム 河野満
1979年 ピョンヤン 小野誠治
1981年 ノビサド 郭躍華
1983年 東京 郭躍華
1985年 エーテボリ 江加良
1987年 ニューデリー 江加良
1989年 ドルトムント ヤン・オベ・ワルドナー
1991年 幕張 ヨルゲン・パーソン
1993年 エーテボリ ジャン・フィリップ・ガシアン
1995年 天津 孔令輝
1997年 マンチェスター ヤン・オベ・ワルドナー
1999年 アイントホーヘン 劉国梁
2001年 大阪 王励勤
2003年 パリ シュラガー
2005年 上海 王励勤
2007年 ザグレブ 王励勤
(2003年から団体戦と個人戦を分離開催で、今年は団体戦)
決勝の相手、団体優勝も分かるが、くどくなるのでやめておく。こうしてリストを見ているだけでさまざまな歴史が思い浮かんで武者震いしてくる(またインフルエンザじゃないだろうな)。
彗星のように登場した日本、その後の荻村と田中による4度の覇権争い、そして59年の容国団の優勝から始まる中国の台頭。前人未踏の荘則棟の3連覇。70年代のヨーロッパの復興、それに食い込む、河野、小野。81年に日本が全種目で初めて無冠になったとき、どこかのメディアに「日本はKONOがONOになってNOになった」と書かれたことに胸を痛めた。80年代の中国速攻の壁を崩したワルドナーを筆頭とするヨーロッパの再々復興。団体戦で負けて決勝のベンチから外されて、その屈辱からシングルスで優勝した王励勤。パリでのシュラガーと朱の信じがたい決勝戦。この後も卓球は過去のようなドラマが生れるのだろうか。頼むから私の前で生れて欲しい。卓球の神様に祈ろう。