スマホ版に
戻る

速報・現地リポート

トップニュース速報・現地リポート

世界選手権横浜大会(世界卓球 ブルーライト横浜速報 伊藤条太の机上の空論 web express)

卓球の世界チャンピオンの最高齢は何歳かご存知だろうか。
実は私もよく知らなかった。すぐに思いつくのは、河野満とワルドナーが30歳ぐらいだったことぐらいだ。私の記憶では、この二人以外で30歳以上で世界チャンピオンになった人は少なくとも1952年の佐藤博治以降は一人もいないはずだ。それ以前に30歳以上のチャンピオンがいなければ、ワルドナーと河野満が最高齢ということになる。

しかしこれまで世界チャンピオンの年齢のデータなど見たことがない。こうなったら自分で調べるしかない。面倒だが、何日かかけて手元にあったITTFの75周年記念誌や古い卓球雑誌でチャンピオンたちの生年月日と大会の最終日(通常男子シングルスをやる日)を調べ上げ、チャンピオンになったときの年齢をつきとめた。対象は、49人の世界チャンピオンと6人の五輪チャンピオンの合計55人だ。

ここにその結果を報告する。こういうデータはどこでも見たことがないので、史上初の資料だと思う(日本の卓球雑誌の情報と食い違っていたこともかなりあったが、ここでは一応、ITTF記念誌の方を信用することにする)。二回以上チャンピオンになった者には色をつけた。

意外だったのは、最高齢は第二回(1928年)世界チャンピオンのメクロビッツの37歳だったことだ。次は初代世界チャンピオン・ヤコビの35歳。しかしこの時期は、ネクタイに革靴でプレーをしていた時期で、あまりスポーツという感じはしないから、対象から外したい。それを除くと、バーグマンとワルドナーの31歳が最高齢だった。さすがキング・ワルドナーだ。バーグマンはなんと最年少の18歳と最高齢の31歳の両方で世界チャンピオンになった、本当にとんでもない選手だったことがわかる。しかも第二次世界大戦で大会が開かれなかった時期をはさんでのこの記録なのだ。考えられない凄さだ。

もうひとつ感じたのは、思ったよりも若いチャンピオンが多かったことだ。ピークは21歳にあり、20歳のチャンピオンなど当たり前、18歳でも全然普通だ(しかし18歳未満は一人もいない)。これは、卓球というスポーツは進化が激しいため、古い世代の選手が新しい世代の新しい技術によって次々と敗れてきたためだと思う。卓球は他のスポーツよりは体力や筋力の占める割合が少ないと思われるが、それでも31歳以上のチャンピオンがいないというのは、「実は体力を使うから」というよりは「進化が激しいから」のような気がする。

横浜で優勝候補筆頭の王励勤(30歳)や馬琳(29歳)は、この記録から見るともう最高齢の部類に属している。19歳の水谷も18歳の松平も、遠慮はいらない、いつ優勝してもおかしくはないのだ。それどころか、この後はむしろどんどん確率が下がるばかりなのだ。なんと厳しい世界なのだろう。