高島スクールの最終講義が会場近くの焼肉屋で行われた。2番弟子の田村は、高島さんの玉話(ぎょくわ:造語)を一言も聞き逃すまいと、懐から出したICレコーダーを突き付けた。
講義の内容は、熱海の樋口先生の話を中心とした初心者コースではあったが、田村がいちいち細かい質問をするものだから、より細部が明瞭に浮き上がり、私にとっても有意義な講義となった。
なにしろ田村はTSPトピックスのインタビューで読んだ高島さんの台詞を本人の前で暗誦するほどだったから、よい聴衆を得て高島さんの講義の質も一段と高いものになったといえる。
中でも田村が食いついたのは、樋口先生のところで20m四方の範囲でボールを使ったフットワークをしたという話だ。「ボール、20m飛びませんよね」と思わず質問。高島さん「いえ、飛ばせるような大男を練習相手に連れて行きましたので飛ぶんです」とあっさりこれを否定。樋口先生は、フィギュアスケートの選手のように20m四方を動くための足運びをチョークですべて床に描き、そのとおりに高島さんに動くよう命じたという。
他にも小野誠治選手が高野山で修行したときの話、高島さんが全日本で早く負けて樋口先生に泣かれた話、長谷川信彦選手の思い出など、初心者の田村にとっては消化不良ともいえる高カロリーの話で、最終講義は終了したのだった。