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世界選手権横浜大会(個人戦)

●男子シングルス4回戦
馬琳(中国)9、7、-4、11、-8、ー8、9 松平健太

 それは、日本中の卓球ファンが夢見た瞬間だったかもしれない。世界選手権の舞台で、日本選手が五輪金メダリストを追い詰める。この興奮は、長く低迷が叫ばれていた日本の卓球界には、久しく無かったものではなかったか。

 第1ゲームから、馬琳と互角以上の戦いを繰り広げた松平。しかし、国内大会では決まる松平の3球目バックパワードライブが、馬琳にはことごとくブロックされてしまう。また、ラリー戦になれば、馬琳はスイングスピードの速さで、多少打球点が落ちたボールも一発で持っていってしまう。競り合いになり、10-8とゲームポイントを握った第4ゲームを逆転され、第5ゲームも2-5とリードされた時点で、松平はもはや勝機を逸したかに見えた。

 ところが、ここから松平は、馬琳にブロックされたボールを待ち受けて連打を見舞い、次第に流れを取り戻すと、前陣を死守して馬琳をバックブロックで押し込み、振り回して主導権を奪い返す。また、フォア前に浮いたストップに対する「パワーフリック」の威力はすばらしく、馬琳でさえほとんど触れることができなかった。
 第6ゲーム10-8となったところで、立ち上がったベンチの吉田安夫総監督補佐にイエローカードが出る。カウント3-3となり、第7ゲーム4-1と松平がリードした時点で、場内のボルテージも最高潮にしかし、馬琳が得意の3球目パワードライブで9-7と逆転。勝利を祈る日本の応援団を前に、7-9から松平のバックドライブ対馬琳のフォアドライブで壮絶なラリーが繰り広げられる。このラリーを落とした松平、9-10まで追いすがるも、最後は馬琳の3球目パワードライブを浴びて敗れた。

 第7ゲーム終盤での馬琳のサービスはトスが低く、かなり「ぶっつけサービス」に近かった。また、第4ゲーム10-8のゲームポイントをものにしていれば、と思う人もいるかもしれない。しかし、松平の健闘はすばらしかった。今大会、ここまでの時点ではベストゲームだと断言できるだろう。

★松平健太、試合後のコメント
「チャンスがあっただけに悔しい。4-1でリードした時に勝ちを意識した。試合としては、思い切ってできたことが良かった。相手のボールに早いうちに慣れることができた。競った時の戦術面が、相手のほうが上だった。競った時に相手のほうが思い切ってきた。試合前は、フォアを中心に集めるという対策を考えていた。馬琳は足と台上がスゴイので、戦型は違うけどよくビデオは見ていた。1ゲームか2ゲーム取れれば相手もびびってくれるとは思っていた。応援の声はすごく力になった。負けて悔しいけど、差はそこまで開いてないなと感じたので自信になった。サービスが効いたと思う。馬琳との試合中、良いボールが決まった時は観客も沸いてくれるので楽しい。
今大会は、自分より世界ランキングの高い選手3人に勝てたので、良い成績だと思う。
(馬琳のように、金メダリストになるまであと何年?と聞かれて)あと5年以内に絶対なりたい」