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全日本選手権大会

準決勝の大苦戦とは一転、決勝での水谷隼のプレーは強さを感じさせた。吉田との3回目の全日本決勝は、今までの対戦で最も完璧な内容だった。
大きく勝敗を分けたのは、やはりサービス・レシーブ。水谷は第1ゲームに0-1から7-1と7本連取、第2ゲームは3-7とこの試合唯一のピンチから6本連取。いずれの連続得点でも、水谷は2本のサービスエース(吉田のネットミス)を奪った。第3ゲームも出足のサービスエースから5-1とリードを広げている。また、大きく浮いたレシーブをバッククロスへパワードライブで打ち抜くシーンもたびたび見られた。これもサービスエースに匹敵する効果をもたらしたはずだ。
後輩の松平健太が見せるような一発で抜けるフリック強打、通称パワーフリックも今大会では完全に自分のものにしていた。自分の力を発揮するだけでなく、相手の力を殺すことが勝利への近道であることを水谷隼はよく知っている。世界ランキングもベスト10に入り、天才の進化はまだまだ止まらない。世界団体選手権でも、中国を破るチャンスは確実に広がってきた。

観客席から「海偉ガンバレ!」の声もかかる中、ラリー戦で観客を沸かせるドライブの引き合いを見せた吉田海偉。しかし、準決勝で松平賢二が吉田のサービスに対応できずに完敗したように、決勝では吉田もまた同じ苦しみを味わった。3球目パワードライブで打ち抜くシーンはほとんど見られず。「強打の体勢から軽打、軽打の体勢から強打」という水谷のプレーにペースを乱され、チャンスボールと見えたボールも思い切って強打できなかった。ここ5年間で優勝2回、準優勝2回、3位1回という成績はすばらしいのひと言。高い集中力、勝利にかける執念にも衰えはない。しかし、目の前にそびえる水谷の壁は年々高さを増している。