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世界卓球 モスクワから愛をこめて速報

卓球は基本的には個人競技だ。団体戦でもダブルスがない限り、試合中は個人競技であり、通常の意味のチームワークは必要ない。にもかかわらず、卓球の団体戦は個人戦より明らかに面白い。

その理由は、卓球がすぐれてメンタルな競技だからだ。選手は試合中、ラリー中、打球の直前、さまざまな考えが頭をよぎる。自分が負ければチームは負けるか、勝てばどうなるのか、次の選手はどう思っているのか。一見、常にベストを尽くせばよいだけのような気がするが、人間である以上、そうはいかない。マラソンランナーにペース配分があるように、プレーもペースを考えなくてはならない。一流選手といえども大きく動くのは疲れるのだ。相手の体制から考えて、フォアで回り込んで体力を使う価値がある場面なのかそうではないのか、そういうことを0.3秒ほどの持ち時間で判断しなくてはならないので、どうしても精神状況の影響を受けてしまう。勝たなくてはならないというプレッシャーがプレーを硬くし、負けそうになってあきらめたとたんに力が抜けてよみがえり、追いついてまた硬くなる、こういったことをお互いに繰り返しているのだ。

だから、実力伯仲の相手同士は序盤に関係なく、後半になると申し合わせたように競る。団体戦はこの心理のゆれがチーム全体として起こっているのだ。だからそこにドラマがあり、個人競技であるにもかかわらず、とてつもなく面白い。