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世界選手権モスクワ大会(団体戦)

* 全日本選手権7回優勝の星野美香さんの大会観戦記

 1,2ゲーム目は丁寧が福原選手の裏ソフトと表ソフトのボールに翻弄されていた。3ゲーム目から相手が台との位置を変え、やや台との距離を取り、福原選手のボールの回転が終わったところを攻撃していった。またコースもワンコースに限定してきた。それは福原選手のフォア前からフォアサイドを狙うというコース取り。そうすると裏ソフトだけの打球になるし、台との距離をおいてやや後ろからでも中国選手は脚力があるから強いボールが打てる。
 1,2ゲーム目は、福原選手の相手のフォア前へのナックルサービスが効いていた。それが効いてくると、丁寧は3球目バックハンドを打たせないコース、高さを狙いだして、福原選手のバックハンド3球目をなくした。フォアサイドへのワンコース狙いだが、それをカムフラージュするために意識してバックへ送る。それを徹底して3ゲーム目からやっていた。1,2ゲーム目取られても、競った時でも崩れないで戦い方をできたのはさすが中国選手だった。
 ただ、世界選手権の準決勝1台の中で、プレッシャーのかかる中でいつもの通りに試合ができるのは、福原選手の一番良いところだと思う。 
 中国選手の良いところはレシーブの回転量やコースを早く察知できる点。2番の平野選手の1ゲーム目はフォア前へのナックルサービスに劉詩ウェンが手こずっていて、3球目を狙い打っていた。2ゲーム目から劉はそのサービスを絶対バックに浮かせないという戦術を徹底したので、平野選手は3球目を打てなくなった。
 平野選手と劉と比べると、劉のほうが打球点は早い。同じ前陣であれば、打球点が早い分、劉のほうが押している。平野選手は、劉よりも早い打球点で勝負するか、振り切れる場所まで下がってそこで勝負をかける選択肢しかなかった。劉と同じような位置で打っていくのであれば、もっと早い上昇点で打つしかないのだが、劉のほうが明らかに早い打球点だったから押していた。平野選手が得点していたのは位置を下げて振り切っていた時だった。
 劉と同じ打球点か、もっと早い打球点で打てるのであれば、リーチが長くて脚力のある平野選手はもっと競ると思う。
 3番の郭炎は中陣で回転を強くかけてくるタイプで、石川選手はパワーに押された。郭炎は石川選手のフォアサイドを切って強いサービスを送り、次のボールを中陣からドライブで狙う。相手が強くなってくると、石川選手のバックへ深くガツンと切ったツッツキを送ってくると思う。そのボールを攻められるほどのバックドライブか、回り込んで攻めることができると相手の戦術の幅を狭めることができる。
 今回の日本女子は韓国戦に勝ったことが素晴らしい。韓国戦で戦って、良い試合をして負けることと勝つことは違うので、そういう中で結果として勝ったことが素晴らしい。勝つまでの過程も良かったと思うし、大きな意味があると思う」