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世界選手権ロッテルダム大会(個人戦)

●女子シングルス決勝
丁寧(中国) 10、11、9、-8、-8、7 李暁霞(中国)

ベスト8にエントリーした7名全員が残った中国女子。タイトルをつかんだのは、モスクワ大会決勝トップでの敗戦を糧に、この1年で急成長した丁寧だった。

今大会はしゃがみ込みサービスをほとんど使わず、フォアサービスから両ハンドのラリー戦で勝負した丁寧。これまでは大器の片鱗を感じさせながらも、ややトリッキーな印象のある選手だったが、立ち合いで余計な変化を使わず、がっちり受け止めて勝負する「横綱相撲」を見せた。バックハンドは対ツッツキの回転量の多いドライブ、前陣での堅固なブロック、台からやや距離を取って緩急をつけるドライブと多彩で安定感がある。バック対バックで主導権を握り、ラリー戦を自分のペースに持ち込んだ。

恐るべきは、この新女王がまだ成長過程にあるということ。第2ゲーム6-10から逆転してゲームカウント3-0とリードしながら、第5ゲーム8-4と優勝を目前にしてプレーが硬くなり、李暁霞に7点連取を許した。第6ゲームも出足でドライブのイージーミスが続き、1-6とリードされている。ここで逆に李暁霞もプレーが守りに入り、丁寧は4-7からの7点連取で逆転することができたが、相手に見せてはいけないスキを見せた。メンタルの部分には不安要素がまだある。

それでも、最後に強気な自分を取り戻し、一気に優勝を決めたことは大きな自信になるだろう。「モスクワでのつらい経験があって、そこから少しずつ立ち直り、強くなっていくことが必要だった。ものすごくハイレベルな戦いだったと思うし、激しい試合の流れについていくこともできた。このタイトルを、とても長い間待っていた。子どもの頃から世界選手権と五輪のチャンピオンになることが夢だったけど、今はその夢が叶った。まず両親に電話をしたい」と試合後の会見で語った。

敗れた李暁霞は、今大会抜群の安定感を見せていたが、最後にメンタルが崩れた。07年世界選手権決勝で、ゲームカウント3-1のリードから逃がしたタイトルは、またもその手をすり抜けた。しかし、決勝まで勝ち上がったことで、現世界ランキング1位の李暁霞のロンドン五輪推薦出場(シングルス)は確実だ。