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世界選手権ロッテルダム大会(個人戦)

 中国の上位独占が続く女子種目。ロンドン五輪を控え、各選手とも気合いが入る中国の壁を破るのはますます困難になっているが、ロッテルダム大会は日本女子も強い。世界ランキング7位の福原愛(ANA)、10位の石川佳純(IMG)、11位の平野早矢香(ミキハウス)が形成するトップ3で、ワールドチームランキングを過去最高の2位まで押し上げた。これは中国への挑戦状となる。

 3月11日の東日本大震災で、未曾有の甚大な被害を被った日本。女子代表選手の中には宮城・仙台育英学園高のOGが多く、さらにエース福原は仙台市の出身。福原は4月の日本リーグビッグトーナメントで、1月の全日本選手権準決勝で敗れた石川を破って優勝。「中学・高校時代を過ごした仙台に良い報告ができるよう頑張る」と記者会見で語った平野は、スペインオープンで優勝を果たした。被災地に思いを馳せ、「WASURENAI3.11」のワッペンを胸に戦う日本女子には、過去の大会にはないプラスαがある。それは決して無視できない力になる。日本女子はシングルスでは全員が本戦からの登場だ。

 優勝戦線を占う上で、もちろん中国は避けて通れない。しかし、今大会ほど優勝候補が絞りにくい大会もない。世界ランキングのトップ5を独占する中国女子の5選手、李暁霞、郭炎、丁寧、郭躍、劉詩ウェンは、いずれも大会での勝敗に大きな偏りはない。李暁霞がやや丁寧を苦手とし、郭躍が調子を落としているという点を差し引いても、女王候補の予想は極めて難しい。大きな大きなドングリが背比べをしている。
 一方、アジアの強豪を見てみると、シンガポール、香港、韓国といずれも頭打ちの感がある。シンガポールのエース馮天薇は、本来なら中国の対抗馬として最も期待できる存在だが、モスクワ大会決勝での2得点で中国に目をつけられてしまった。その後は対中国選手はかなり分が悪く、今大会も厳しい戦いになりそう。韓国もカットの2枚看板、金キョン娥と朴美英がややピークを過ぎてきた感あり。元中国選手の石賀浄は対中国に強いが、対カットに弱いという落とし穴がある。若手の梁夏銀がどこまで戦えるのか、注目してみたい。

 ヨーロッパ女子はなかなかスター候補生がいないが、93年イエテボリ大会3位のバデスク(ルーマニア)、03年パリ大会3位のボロス(クロアチア)と、欧州開催の世界選手権には思わぬ伏兵が飛び出すこともある。07年ザグレブ大会では、日本の福原・平野・福岡が、ルーマニアのドデアンとサマラに苦杯を喫している。一発勝負のトーナメント、特に今大会のように、ロンドン五輪の推薦出場枠などが絡むと、どんな番狂わせがあるかわからない。

 ロッテルダムと言えば、ロッテルダムマラソン。世界屈指の高速レースに備え(?)、速報担当もランニングシューズを新調しました。緩んだ体に活を入れながら朝もやのロッテルダムを駆け抜け、速報もさらにパワーアップさせたいと思います!