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世界ジュニア選手権大会

 昨年の女子が優勝、男子準優勝という結果と比べれば、一歩後退と言えるかもしれないが、現場にいれば「よくやった」と感じる。去年はある意味、勢いもあり、中国の崩れもあり、奇跡だったのかもしれない。今年は奇跡がなかったということだ。しかし、中国と日本が世界ジュニアの中で力が抜きんでているのは事実だろう。国家体制による強化する中国。かたや日本はエリートアカデミーという協会お墨付きの強化組織と、それに負けじと頑張る地方のエリート卓球集団がからみ合っている体制だ。エリートアカデミーには今でも賛否両論があるが、現実として、谷岡や村松という選手が育っていることも冷静に受け止めるべきだ。ただ言えることは、ジュニアまでが勝負でない。これからシニアに送り出し、強化していくことがもっと重要なことなのだ。
「相手のほうが気迫も感じられ、こちらは不安という状況で試合が進んでいたので、完敗だった。去年は無我夢中だったが、今年は冷静に見られて谷岡もこれくらい通用するんだという部分が実感できたので、もう一回中国にチャレンジする気持ちが強くなった。このオーダーをすごく悩んだ。石川は朱雨玲と前半でやりたいということで彼女をBにした。前半で2-0でリードしたかったし、オーダーはうまくいったけど、紙一重の部分もあるし、谷岡も(4ゲーム目の)9-9が悔いが残る。全体としてそこを切り抜けられなかったのは中国のほうが良い準備をしてきたことを感じる。昨年と比べると中国以外のレベルはダウンしているので、中国のみを考えて、戦っていきたい」(岸女子監督)
「吉村と丹羽がもう少し頑張ってくれていたらチャンスがあったかもしれないが、村松が3番でビックリするようなプレーをしてくれたのが大きな収穫。去年より今年のほうが手応えはあった。丹羽も世界ランクは20位台だけど、中国の2軍と良い勝負をさせないといけない。宋と林はシニアレベルでしょ。村松は楽しみでワクワクする選手になった。今までの日本のカットマンとは違う。世界で勝ってくれるスタイルのカットマンですね。去年は中国には全然勝てないと思ったけど、今年は何とか行ける感じがする。個人戦でひとつでも多くメダルを獲りたいですね」(河野男子監督)
 石川は遠征、試合の連戦で疲れているのは事実だ。しかし、今が踏ん張り所。世界ジュニアに出ることが世界ランキング7位の彼女にとってポイントを失うことはわかっていたこと。リスキーな選択だった。しかし、あえて選んだ。2年、3年というスパーンで見れば、同年代の選手と戦い、獲るべきタイトルを獲るという経験をすること、試合を積むことは計り知れないプラスになる。ポイント失うマイナス面ではなく、もっと先のプラス面を考えて、負けることを恐れずに戦ってほしい。
 丹羽は宋と林との力の差を肌で感じただろう。先制攻撃してもカウンターで返され、相手の第一打はあまりに力強い。自分が勝つためにどのような卓球をするべきかを決勝という舞台で突きつけられた。そこを避けて通るのか。いや、それは無理だ。彼が世界の舞台を目指すなら、目の前の強敵を崩す手だてをこの3日間で考えるべきだ。