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世界ジュニア

 最強軍団の次代を担う選手たちとはいえ、中国選手たちには明らかに緊張の色が見られた。中国にとって、団体戦の優勝こそ至上のもの。一昨年の世界ジュニア女王・朱雨玲ほどの選手が、トップの伊藤戦の終了後、ベンチで安堵感をあらわにしていた。

 決勝という大舞台で、日本選手にも緊張の色がなかったとは言えない。しかし、出場した伊藤・谷岡・前田の三選手は持ち味を出していた。トップ伊藤の打球点の高いフォア強打は十分通用していたし、バックフリックで何度も朱雨玲のフォアを抜いた。谷岡の粘りのカットプレーが会場を沸かせ、ようやくフォアハンドに当たりが出てきた前田は、チーム唯一のゲームを顧若辰から奪った。

 それでも中国の壁を崩せなかった。最近は卓球の「男性化」が指摘される中国女子だが、台上技術は非常に繊細かつ厳しい。たとえばストップひとつにしても、日本選手は止めるストップだが、中国選手は切るストップ。この切るストップに対して、日本選手は1ゲームに1本か2本、必ずミスが出る。この差は非常に大きい。その他にもツッツキやブロックなど、ジュニアながら細かい部分の完成度が非常に高い。

 台上技術という小さな石が、パワーボールという大きな石をがっちり固めている。だから中国の石垣は堅牢で、緊張で消極的なプレーになっても崩れることがないのだ。