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星野美香の眼★

★松平健太対許シン
 松平健太は、許シンのドライブをいとも簡単に前陣でブロック出来るのだからすごい、の一言に尽きる。そして甘いボールは早い打球点でドライブするし、台上からのプレーでも先手をとっていた。また、3ゲーム目の3−3からはスーパープレーも飛び出した。松平がフォアへ飛びつき、次のバックへの返球を今度はバックへ飛び込んでバックハンド、さらにフォアへ振られたボールに飛びつき、そのボールがエッジで入った。 
 2−1と松平がリードした4ゲーム目、許は松平のフォアへ攻撃し、次にバックを攻める戦い方をしていた。相手に早い打球点でブロックさせないためだ。また、長いサービスも多用してきた。一方、松平もフォアに攻めてくるのを待ってカウンターで対抗した。3−7と松平はリードされたが、7−7と追いつき、8−8,9−9、9−10、10−10と進んだ。勝負に「もしも」はないが、このゲームを取っていれば、試合は松平に流れただろう。
 5、6ゲーム目は、許が松平が上手くストップレシーブできないようにサービスをフォア前へ横、横下と混ぜ、長いサービスも多用した。そこから松平が台上から先手が取りにくくなってきたようだ。
 松平がこれから今の技を磨き、戦術の幅を広げていったなら、当たり出して止まらない選手になる日がきっと来ると思う。
 
★王皓対閻安
 試合の中での読みの差、経験の差が勝敗を分けた試合だった。あれほど力を持っている閻安ですら、6ゲーム目では手も足も出ないようなゲーム展開になる。閻安はバックサイドで、王皓はフォアクロスで勝負したい。二人とも自分の得意なコースに持って行こうとする。そこでサービスやレシーブをどこへ出すと早く先に攻められるかを考えている。王皓はチキータレシーブをされないように、フォアサイドから閻安のフォア前に出すサービスも使っていく。その試合の流れの中で王皓のほうが読みが鋭かった。

★馬龍対ボル
 馬龍のフットワークと筋力はすごい。逆をつかれても、ボールを盛り返して返すことができる。それを顕著に表したのが、2ゲーム目の9−9からのラリーだった。ボルは馬龍のフォアへ流しレシーブを使い、馬龍は回り込もうとして逆をつかれたが、そこからフォアへ飛びつき得点した。この得点がこの試合の流れを馬龍に大きく引き寄せた。
 出足から馬龍がすごいスタートダッシュをかけた。ベンチから攻めを指示されていたのだろう。3球目から回り込んでフォアドライブ攻撃をしている。バックハンドを一本強めに打ち、すかさず回り込んでフォア攻撃に持って行った。
 対するボルは、2ゲーム落としたあとの3ゲーム目から得意のバックサイドからシュートドライブを使い、馬龍のフォアを攻め、相手の回り込みの足を止め、ゲームを取り1−2とした。このように、ボルが馬龍のフォアをフォアシュートドライブで攻めているときにはゲームを取っている。
 4ゲーム目、馬龍は10−5から10−8まで追い上げられた。そこで中国はタイムアウトを取り、その後、ボルに対してバックへロングサービスを出し、3球目で攻撃し、そのゲームをものにした。劉国梁監督からサービスの指示を受けたのだろう。
 最終的に、馬龍の攻め方と強ドライブがボルの攻めを封じた一戦だった。