速報・現地リポート

トップニュース速報・現地リポート

世界卓球パリWEB速報

勝負は二人がタイムアウトをとった4ゲーム目だった。どちらものこのゲームがほしかったはずだ。

 王は10-7とリードしていて、このゲームを取れなかったのは悔しいだろう。王の戦い方も決して悪くなかった。張のフォアを狙い、バックストレートへの攻撃を多くして、チキータを狙っている張に対して、フォア前ではなくバック前に出すタイミング、決して落とさない打球点の高いドライブ。その王の戦術をもってしても、張を倒せなかった。

張のねじ伏せるようなバックドライブは打球点が早いだけではなく、回転量も多い。特に4ゲーム目、8-10からのバックドライブは、台の上からでもあれほどの回転がかけられるものなのかと驚かされる。二人のドライブのラリーは台より下でとらえたとしてもあまり放物線を描かず、弾道が低い。回転量と筋力があるからだ。

もうひとつの張の特徴は、下半身と上半身のバランスが悪く、体勢が整っていない状態でも、そこから早い打球点でドライブをかけられる点だ。だから王の予想を超えたボールがくるのだろう。もちろん張は高度な技術だけでなく、攻め方も読みもハイレベルだ。1ゲーム目、2-2からノータッチで抜くバックストレートへのドライブ。6ゲーム目の後半には、王がフォア前を裏面で返球すると、すかさずバックへ送りポイントをとる攻め方などがその良い例だ。勝負所も知っている。だからこそ、世界選手権で2回、オリンピックでも優勝することができるのだろう。