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 「我々はもちろん、男子シングルスのタイトルを奪回することを望んでいる。今の中国チームは10年前と比べてもさらに強くなっていると信じているよ」
 今日10日、オーストリア・シュヴェヒャートのWSA(ヴェルナー・シュラガーアカデミー)での調整合宿を終えた中国チームの劉国梁総監督は、中国のマスコミに対してそうコメントしている。
 ちなみに2001年の大阪大会以降、中国が個人戦で優勝を逃したのはこの03年大会の男子シングルスのみ。それだけ圧倒的な成績を残してなお、10年も前に取り逃したタイトルを同じ会場で取りに行く。さすが最強軍団の手綱を執る男だけあるが、振り返ってみれば03年パリ大会は、劉国梁の中国男子監督デビューの大会でもあった。シングルスでの敗戦は、苦い教訓として彼の中に残っているようだ。

 男子シングルスの戦況を占うと、やはり中国勢が強い。張継科・馬龍・許シンの3人はプレーヤーとしても脂が乗っており、優勝争いの中心。ただし、張継科はモチベーションの維持、五輪・世界王者としてのプレッシャーの克服に苦心しているようで、「具体的な目標は定めず、一試合一試合をしっかり戦いたい」といつものビッグマウスが見られていない。
 王皓や馬琳のプレーがピークを過ぎつつあることを考えれば、この3人の同士討ちになった時に最も分が良い馬龍が、最も優勝に近い。どこまでタイトルへのモチベーションを高められるだろうか。

 日本男子でメダルに近いのは、やはり水谷隼(beacon.LAB)。第7シードで準々決勝まで格上と当たらなかった前回大会に対し、今大会は世界10位で第10シードとなり、第1〜8シードの選手と準々決勝進出をかけて4回戦を戦う。ドローはそれだけ厳しくなるが、「今回のように強い選手と1回やって、調子を上げて準々決勝に臨むほうがいいです」と意に介さない。2回の長期合宿を経て体を作ってきただけあり、田中礼人・男子フィジカルコーチも「決定打の後に体勢が崩れなくなった」と評価する。
 他の日本勢も、対ヨーロッパなら簡単には負けないが、対アジア、対中国ということになると、攻めの速さがある丹羽孝希(明治大)と松平健太(早稲田大)か。前回は1回戦負けだった松平健太は、体力トレーニングで体を作り、再びその才能の煌めきを示しつつある。

 韓国の呉尚垠・朱世爀・柳承敏がそろって欠場するのは残念なニュースで、アジアで他に上位が狙えるのは復調気味の荘智淵(チャイニーズタイペイ)、中国選手に強い元中国選手ガオ・ニン(シンガポール)、香港男子のエース江天一くらいだ
 地の利を生かしてヨーロッパ勢にも頑張ってもらいたいが、ボル(ドイツ)は故障が多く、ロッテルダム大会の時のようなベストパフォーマンスができるかどうかは不安が残る。実は最も期待できるのはベテラン・サムソノフ(ベラルーシ)かもしれない。息の長い選手だが、「ここが最後の大舞台」と思って頑張ってほしい。
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