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世界卓球東京大会WEB速報

星野美香の眼
「トップの丹羽の卓球はワルドナーを彷彿とさせる。ボールを操るタッチが突出しているからだ。早い打球点でボールをとらえる中で多彩な技術が使えるところに魅力がある。多彩な技はボールを操る独特の感覚があるからこそで、それは集中力を欠く場面を誘発することもあるのだ。今日の試合では、集中力がほんの一瞬切れてしまったようだ。そこからゲームが崩れた。
 一つ前のタイムテーブルで、中国男子の試合を見ていたのだが、トップの許昕が2ゲームを取り、3ゲーム目11−10でリードしたところでベンチがタイムアウトを取った。サービスの指示をしたのではないか。許のサービスは相手のバックへ長いナックルサービスを出し、相手がレシーブミスしてゲームセット。もし、タイムアウトを取らなくても80%以上得点できたと思うが、ベンチは隙を与えず、許自身も3−0で勝ちに行く姿勢を崩さずに試合を進めていた。
 それは、ほんの一瞬でも隙を与えたり、ゲームを落としたりすれば勝負がわからなくなるのを中国は知っている。そう考えると、丹羽が集中力が欠けたことは今後の課題だろう。そこを克服すれば丹羽は中国とも対等に戦えるだろう。
 2番の水谷は、競ったゲームを取るところに強さがある。左利きの相手のドライブにあっておらず、かなり苦しそうだった。攻められるボールを先に逃していたのが苦しんだ原因である。これから攻められるボールを逃さなければより調子が上がっていくだろう。
 3番の松平は、非常に巧みなネット際の技、タッチの鋭さと、そこからとブロックと攻撃ともに打球点が非常に良かった。松平のプレースタイルである前中陣の高速プレーが光っていた。3,4ゲームは攻撃のコースが相手に読まれていた。前に寄せてからの攻撃が単純になってしまったからだ。5ゲーム目前半に相手のドライブ攻撃のボールを殺し、ナックルにして返すブロックから相手が崩れていった。
 自領コート、フォアへの少し浅いボールを、打球点の早いストレートで決めれれば、さらに戦術の幅も広がり勝ちやすくなると思う。それにしてもネット際のタッチは天下一品だ。