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ユース五輪・卓球競技

 世界ランキング3位、ランキングから言えば優勝候補筆頭として今大会に臨んでいる中国の樊振東。しかし、その試合はどれも圧倒的な内容ではない。男子シングルスの準々決勝では孔嘉德(香港)にゲームオールまで迫られたし、昨日の韓国戦でもストレートで勝利したものの、3ゲームとも11ー9と競り合った。彼ほどの選手でもやはり動揺しているのか、ビビっているのか、それとも何とも思っていないのか。

 男子シングルス決勝で樊振東と戦った村松は、「樊振東は表情が変わらないし、何を考えているのか読みにくい」と言う。もちろん競った場面では声も出すし、ミスをした時には表情をゆがめることもあるのだが、基本的にはポーカーフェイス。「さすがに弱気になったかな」と思ったら、それまであまり打ってこなかったようなボールまで、フルスイングで狙ってきたりする。

 相手に与える情報が少ないという点では、現世界チャンプの張継科と似たところがあるかもしれない。特に眼だ。個人的な感想になってしまって申し訳ないが、カメラ越しに見ていても彼の眼にはあまり「色」がない。12年世界ジュニア選手権で、彼とシャトルバスで乗り合わせた時の第一印象が、今もって忘れがたい。「なんて遠い眼をした少年なんだろう。これが天才の眼なのか」と(本当ですよ)。

 今日の大会最終日に、シングルスとの2冠を狙う樊振東。ひとつ確かなことは、体力的にはまだまだ余裕があるということだ。近くで見ればみるほど、ドラム缶のような彼の体つきはすごい。この体であれだけの瞬発力を発揮できるというのが、またすごい。