女子シングルスは、先日福原愛(ANA)の大会欠場が発表された。昨年はアジア競技大会・団体決勝のトップで丁寧(中国)を破るなど、よりスケールアップしたプレーを見せていただけに残念。そうなると、福原とともに優勝戦線をリードしていた石川佳純(全農)の優位は動かない。
石川はこの1年で、男子NTでパワーのある男子選手と練習し、中陣での攻撃力、バックハンドの威力と安定性がアップ。持ち前のクレバーさを発揮し、相手の強打を封じるのもうまくなっている。昨年12月のITTFワールドツアー・グランドファイナルでは、やや苦手にしていたカットの徐孝元(韓国)を一方的に打ち抜くあたり、プラスチックボールへの変更はむしろ追い風か。世界ランキングを日本人選手の過去最高位(コンビューターランキング導入後)となる4位まで上げ、優勝候補の筆頭だ。
石川の対抗馬になり得るのは、6回目の優勝を狙う平野早矢香(ミキハウス)、そしてパワーと速さを兼ね備えた一昨年3位の松澤茉里奈(日立化成)が筆頭か……と言いたいところだが、実はこのふたり、ラン決(ランク決定戦/5回戦)で当たる組み合わせだ。このカード、ラン決にはあまりに惜しい。
2012年日本リーグ前期で石川に完勝した阿部恵(サンリツ)も、石川にとっては怖い「刺客」だが、こちらもラン決で前回3位の若宮三紗子(日本生命)という強敵が控える。ナックルボールとフォア強打の阿部、広角なコース取りと安定性の若宮、左腕の異質攻撃型同士の対戦は興味深い。
全日本で3位の実績もある森薗美咲(日立化成)が虎視眈々と上位を狙う。世界ランキングを25位まで上げ、世界選手権蘇州大会の代表も射程圏内だけに、思い切りの良い攻撃卓球に徹すればチャンスは大きい。前回2位の森さくら(昇陽高)は、右肩の故障が気がかりだが、集中力と攻撃の破壊力は女子でもトップクラス。前回の成績がフロック(まぐれ)ではなかったことを証明したい。
そして女子は、スーパーシードの32人に加藤美優・平野美宇(JOCエリートアカデミー)、伊藤美誠(スターツSC)、早田ひな(石田卓球クラブ)という黄金世代の「スーパー中学生」が入っている。4人ともベスト8に勝ち上がってもおかしくない実力の持ち主だ。早田は4種目にフルエントリー、加藤・平野・伊藤も3種目出場と体力的にハードな大会になるが、女子シングルスでも周囲を驚かせるような活躍が見たいところだ。