世界選手権に毎回取材に来る有名なイタリア人カメラマンがいるのだが、何で有名なのかというと、変態で有名なのである。
取材歴は古く、もう20年以上のキャリアを誇るベテランなのだが、徹底的にアジア人女性にしか興味がなく、いつもカバンにチョコレートを忍ばせ、取材の合間に機をみては好みの選手にプレゼントをするという、日本女子の間でも有名な変態さんなのである(本当に変態かどうかはわからないが、少なくともその地位は確立してしまっている。いや、これだけで十分だろう)。
噂によれば、彼の自宅の部屋は壁一面がアジア人女性卓球選手の写真で埋め尽くされているという。また、イタリア人なのになぜか中国国内の大会にまで毎年姿を現し撮影をするという。卓球をしているアジア人女性が好きな彼にしてみれば、そこは天国だろう。
今大会の中盤の2日ほど、彼は私の隣の席にいたのだが、なぜか試合にはほとんど関心を示さず原稿書きだけをしてるだけだった。ところが、ショータイムになって、ヘソを出した若い女性たちが踊り始めるや急にカメラを構え、「シャカシャカシャカシャカ」ともの凄い連写。踊っている数分というもの、ほとんど撮影しっぱなしなのであった。なんたる変態ぶり。
今大会、彼がカメラを出したのを見たのはこのときだけだった。
そのとき踊った女性たちは恐らくは卓球とは関係のない人たちだ。そういうのを撮影したかったら、何も卓球の世界選手権に来なくても展示会でもモーターショーでももっと適した場所がいくらでもありそうなものだが、なぜか「世界卓球選手権大会」でそれをやりたいのだ。計り知れない心理だ。
実は私は2年前のパリ大会のときから彼には注目していて、その変態さんぶりを味わおうと話しかけ、いろいろと探りを入れたのだが、そのときの彼の答えは「日本には良い選手がいる。水谷とか丹羽とか」などというどうでもよい話をされてすっかりかかわされ、意気消沈したのであった。
それが今回はいきなり「シャカシャカシャカシャカ」である。・・・やっぱりド変態じゃないかよ。