スマホ版に
戻る

速報・現地リポート

トップニュース速報・現地リポート

女子ワールドカップ仙台大会

 女子のトップ選手が集結する今大会。その中で優勝争いの中心となるのが、世界ランキングの2~5位に位置する中国の劉詩ウェンと朱雨玲、日本の福原愛と石川佳純だ。

 福原は過去3大会のワールドツアーの成績は、チェコオープン優勝、オーストリアオープン3位、ポーランドオープンベスト8。バック表ソフトの緩急と、非常に早い打球点でクロス・ストレートに狙い打つフォアのカウンタードライブは円熟の域に達し、安定した成績を残している。地元・仙台のファンの歓声も、今の福原ならプレッシャーではなく追い風にできるだろう。劉詩ウェンには先週のポーランドオープンでストレートで敗れているが、スコアから見るほど一方的な内容ではなく、序盤の2ゲームはチャンスもあった。地元大会での日本選手初V、チャンスはある。

 一方、石川はポーランドオープンの1回戦で同じ左腕のパルティカ(ポーランド)に2ー4で敗れた。今大会もリー・ジャオとリュウ・ジャという左腕の帰化選手ふたりは油断できない存在だが、左腕対策には継続して取り組んできた。もし当たることがあっても、リオ五輪への貴重な経験ととらえたい。鄭怡静、杜凱琹というアジアの若手も手強いが、技術の幅と経験値は石川がはるかに上。強引な打ち合いではなく、緩急に富んでクレバーな、石川らしい戦いを見せてもらいたい。

 中国女子の劉詩ウェンと朱雨玲は、6月のジャパンオープンではあまり気合いが入っていなかったが、今大会は状況が違う。過去3回優勝の劉詩ウェンにとって、はっきり言ってタイトル獲得にそれほど意味はない。しかし、この大会は劉詩ウェンにとって、リオ五輪に向けた重要なテストになりそうだ。
 中国女子の孔令輝監督は、リオ五輪代表については明言していないが、シングルス代表に丁寧と劉詩ウェン、団体戦のみ出場の3番手にベテラン李暁霞、そしてリザーブに朱雨玲という線が濃厚だ。この中で、5月の世界選手権を制した丁寧は、五輪代表はほぼ確定。残るシングルスのひと枠も、現在の李暁霞の状態から考えると、劉詩ウェンでまず動かない。しかし、劉詩ウェンは3月のアジアカップと9月のアジア選手権で馮天薇に敗れた他、過去に団体戦でもたびたび黒星を喫している。今大会できっちり勝ちきれるかどうかが試される。

 そして今大会、注目すべきは公式使用球であるニッタクの3スター・プラスチックボール。日本開催の大会で、メイド・イン・ジャパンのニッタクボールが使用球となった。ITTFワールドツアーでは紅双喜のボールが使用されているが、この使用球の違いによる影響は意外に大きいはずだ。
 ヨーロッパ選手は9月に行われたヨーロッパ選手権で、ニッタクのボールの打球感にはかなり馴染んでいるはず。しかし、同じプレースタイルでもボールにフィットした選手と、成績が伸び悩んだ選手がいた。ラリー主戦型は有利、カット主戦型はやや不利という印象を受けるが、果たしてどうか。中国および中国系選手のプレー、粘着性ラバーに与える影響も興味深いところだ。