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2016世界ジュニア選手権大会速報

●女子団体決勝
 〈日本 3ー1 中国〉
 平野 ー7、7、ー8、7、ー7 石洵瑶○
○伊藤 8、ー1、ー9、7、8 劉煒珊
○早田 9、3、ー6、6 孫芸禎
○伊藤 11、7、7 石洵瑶

中国を破り、6大会ぶりの栄冠に輝いた日本。しかし、トップ平野が大接戦の末に石洵瑶に敗れ、2番伊藤が1ゲームを先取しながら1ー2と逆転された場面では、チームに暗雲が漂った。「これだけのメンバーを揃えても、まだ中国に勝てないのか」と感じた。しかも今回の中国チームは若手の一線級ではなく、カデットの年代の選手もいるメンバー構成。ユニフォームの背中に書かれた他の選手の名前を、ガムテープで隠したウェアで出場しているのだから。

しかし、伊藤は動じなかった。今大会の団体戦は最後まで冷静。変化の激しいサービスと、バック表ソフトの多彩なレシーブ&ブロックで得点を重ねた。最終ゲームは10ー4から10ー8まで挽回されてヒヤリとさせたが、最後は3球目で強烈なバックストレートへのフォアスマッシュを振り抜いた。
「2番で3ー2で勝てたことが大きい。リオ五輪での経験が生きました。(五輪では)準決勝のドイツ戦トップで、すごく大事な試合でゲームオールの9ー3から逆転負けしてしまった。だから今回、10ー4から10ー8に挽回されることがあったとしても、ゆっくり考えることができるんですよ。勝ちきることができるようになったのは、五輪の経験が出ているんじゃないかと思います」。伊藤は試合後にそう語った。世界ジュニアはこれで4大会目の出場だが、リオという大舞台を経て、これまでとは違う伊藤がそこにいた。

そして3番早田は、第1ゲーム6ー9というビハインドから逆転し、11ー9で奪ったことが非常に大きかった。変化の激しい投げ上げサービスからのパワードライブ、ロートスのサービスからバックハンドで先手を取るラリー展開を巧みに使い分けた。自分と同じ左利き、そして憧れの選手でもある丁寧(中国)と同じ左利きの孫芸禎を、「絶対に丁寧ほどは強くない」と考えることで、自信を持って戦うことができたという。

「1ー1で回ってきたので、絶対に勝って美誠につなげたいと思っていた。自分が勝って、美誠がもっと自信を持ってプレーできたらいいなと思った」(早田)。希望が丘高のスーパールーキーとして、夏のインターハイでもチームを牽引した早田。まだ16歳ながら、団体戦での戦い方を知っていた。

そして4番で優勝を決めた伊藤は、決勝トーナメントの3試合すべてで2勝を挙げる圧巻のプレー。2ー1で回ってきた4番では自信満々、早田いわく「キラキラ輝いて見えた」とか。それくらい自信にあふれていたということだ。第1ゲーム、相手に先に2回ゲームポイントを奪われながら、12ー11と逆転してフォアスマッシュでの得点でゲームを先取。第2ゲーム以降はサービスで石洵瑶を翻弄しながら、試合終盤ではネットやエッジが続く幸運も味方につけた。歴史が動く時、という感じがした。

優勝を決め、ベンチに戻ってから涙があふれてきた伊藤は、団体戦を8戦全勝で終えた。世界ジュニアで唯一の五輪メダリストの貫禄を、存分に見せつけた。
  • 団体戦8戦全勝の伊藤

  • 優勝を決め、笑顔のち涙

  • フォアのパワードライブが強力な早田が、バックハンドで勝利をもぎ取る

  • ITTFの依頼で「自撮り」、みんなでピース!