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2017世界卓球デュッセルドルフ大会速報

7ゲーム目10ー10、観客が踏みならす足音がアリーナを揺るがした!
まさに紙一重の勝負を制して、馬龍が世界選手権2連覇!

ゲームカウント3ー1と馬龍が優勝に王手をかけながら、樊振東が2ゲームを返して最終ゲームまで持ち込まれた男子シングルス決勝。技と経験の名横綱が土俵際まで押し込みながら、新進気鋭の実力派大関が土俵中央まで押し返した、という感じだ。片方の選手が樊振東だからか……。

序盤に「うまみ」を見せたのは馬龍。1ゲーム目こそ落としたものの、2ゲーム目から樊振東の快速チキータに対し、時に速いバックハンドのカウンターで合わせ、時にタイミングを外す弧線の高いバックハンドで対処する。バック対バックで速いボールばかりになる樊振東は、この緩急にミスが多くなった。また、馬龍はフォアに飛ばされたボールを、すべてフォアストレートにカウンター。大きく空いたバックサイドに速く返されるリスクはあるが、樊振東は待ちを外され、ブロックのミスが続いた。

台上でも無理に仕掛けず、先に打たせてからカウンターする馬龍のプレーは、まさに横綱相撲。しかし、樊振東も5ゲーム目から、新たな境地を見せる。バック対バックから回り込みのフォアハンドを増やしながら、3球目攻撃であえて打球点を落として攻めたり、弧線の高いバックハンドを混ぜたりと、馬龍のお株を奪うような緩急を披露。そして6ゲーム目の10ー7のゲームポイントでは、一撃のチキータで馬龍のフォアサイドを抜く。勝負はついにゲームオールへ。

7ゲーム目、馬龍5ー3のリードから樊振東が回り込んでバックストレートへのカウンタードライブ、そしてチキータでのレシーブエースで9ー7と逆転。馬龍が3点連取で10ー9でチャンピオンシップポイント……と目まぐるしく展開は変わる。
そして最後の一本は、「さすが馬龍」だった。樊振東のバックサイドを切ってくるようなチキータに対し、回り込んでバックストレートへカウンターを一閃。これが見事にノータッチで抜けた!

ラケットを放り投げ、クルリとフロアに転がった馬龍。呆然とする樊振東。この一本は誰にも取れない。最後の最後で、チャンピオンはやはりチャンピオンだった。