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全中国運動会・速報2017

 一昨日の男子団体準々決勝で、4試合が同時にスタートした時、コートに立っている選手の中で、右利きの選手は方博(山東省)ひとりしかいなかった。
残りは全員がサウスポー。王楚欽(北京市)、林高遠(広東省)、朱霖峰(四川省)、夏易正(河南省)、許シン(上海市)、朱誠(江蘇省)、周雨(解放軍)という顔ぶれだ。方博対周雨戦以外は、すべて左利き同士の対戦だった。

 陳静、王楠、郭躍、丁寧など左腕の五輪・世界チャンピオンが多い女子に比べ、中国男子はまだ左利きの五輪・世界チャンピオンは誕生していない。パワーのある右利きの攻撃型こそ男子卓球の「王道」、左利きは基本的にダブルス要員、未だにそういうイメージが根強い。大振りのフォアドライブを振り回し、ダブルスには滅法強いがシングルスでは右利きにうまくいなされてしまう。かつての陳杞などがその典型だったと思う。今大会でも、四川省の朱霖峰などはバックハンドの攻撃力が極端に落ちる。

 解放軍の周雨は、まだ若手だった前回大会に比べ、台上のストップとバックのドライブが確実に向上。苦手だったブロックも、ラケットを横にスライドさせて球威を殺せるようになり、バランスはかなり良くなってきた。ブロックをミスすると、ベンチで王涛監督が何度もラケットを横に動かすしぐさをして、注意を促している。……一方で、かつてほどの爆発力がなくなってしまったのも事実。難しいところだ。

 6月の世界選手権にも出場した林高遠は、プレー領域の広さと守備力を備えた新しいタイプのサウスポーに成長しつつある。準決勝の四川省戦での2失点は意外だったが、彼の担当コーチである国家チームの劉恒コーチ曰く、「(準々決勝の)馬龍との試合は良かったけれど、今日はやはり緊張していた」。国家チームのコーチたちは、フロアに設けられた特別席から選手たちのプレーに鋭い視線を送っている。劉恒コーチ、相当お怒りだったそうです。
 
 そしてもうひとり、14年世界ジュニアで初めてプレーを見てから注目しているのが北京市の王楚欽。ボールセンスは抜群でバックハンドも強く、初めて見た時は「確実に中国男子の主力になる」と感じたのだが……、時折大物食いを見せる一方で、コロッと負けるもろさがある。パワーやフットワークの速さもまだ課題を残している。今年で17歳、これから一気に伸びてほしい選手だ。
  • もっともっと伸びてほしい王楚欽

  • 河南省チームのポイントゲッター、夏易正

  • 林高遠は個人戦に名誉挽回を期す

  • 林高遠の担当コーチである劉恒コーチ(右)。現役時代は唐鵬とダブルスを組んだ