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2017世界ジュニア選手権大会

練習会場の一角に設けられた、アンチ・ドーピングの啓蒙活動を行うブースで、ひとりの日本人を発見。日本卓球協会・ドーピングコントロール委員会委員の岡田拓朗さんだ。本職は薬剤師で、千葉県鴨川市にある亀田総合病院に勤務している岡田さんは、今年4月から休職。スイス・ローザンヌにあるITTF本部で、アンチ・ドーピングのマネージャーであるフランソワさんの下で研修を受けている。

岡田さんがアンチ・ドーピングについての活動を志したきっかけは、うれしいことに卓球王国巻頭の『Person』ページで、アンチ・ドーピングの活動を行う松尾史朗さん(日本卓球協会 スポーツ医・科学委員会担当理事)を紹介した記事を読んだことだという。
「当時はまだ薬学部の学生だったんですが、アンチドーピングにはもともと興味があって、取り組むなら自分の好きな競技でやりたいなと思いました。そして松尾先生にお会いして、亀田総合病院に就職した2012年に日本卓球協会のスポーツ医・科学委員会に呼んでいただきました」(岡田さん)。

「ITTFは今アンチ・ドーピングのスタッフがひとりしかいないので、検査計画を立てたり、大会で選手教育のためのブースを出したり、現場でドーピングの計画がしっかり行われているかをチェックしたり、ひとりで全部の仕事をやっている。WADA(世界アンチ・ドーピング機関)からはアンチ・ドーピングの取り組みができているかどうかの調査も行われるので、その改善などをサポートしています。アンチ・ドーピングについて実際に現場で動くのは、国内ではJADA(日本アンチ・ドーピング機関)、海外では各競技のIF(国際競技連盟)などで、WADAは監視機関としての役割を果たしています。

選手の皆さんにとって、ドーピング検査というのは非常に大きな負担になると思います。それでも、たとえばドーピング検査を全く行わないようなスポーツだったら、オリンピック競技からも除外されてしまうでしょう。ですから、卓球というスポーツが、根拠を持ってクリーンだということを示さなければいけない。

12月に日本に帰国しますが、帰国後は日本卓球協会のドーピングコントロール委員会で、選手の方を守る手助けをしたい。禁止薬物についての問い合わせに答えたり、禁止物質でも治療に必要なものを使いたい時は、書類を書いて提出しなければならないので、そのサポートをしていきたい。松尾先生がITTFのスポーツ医・科学委員会でアンチ・ドーピング委員会のチーフになっているので、引き続きITTFとの連係もしっかりやっていきたいと思います」(岡田さん)

中学・高校では公立高校で卓球に励み、卓球レポートや卓球王国を読みあさる「卓球小僧」だったという岡田さん。ローザンヌの地元の卓球クラブで、ラケットを握ることもあるという。今年でまだ30歳、若き卓球界の「番人」の益々の活躍を期待したい。
  • 岡田さんのプレースタイルはカットマン。「やっぱり『守る』ほうなので(笑)」