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平成29年度全日本選手権速報

 続いて女子シングルスの見どころを紹介していく。今年も女子の優勝戦線は平野美宇(JOCエリートアカデミー/大原学園)、伊藤美誠(スターツSC)ら黄金世代と石川佳純(全農)が中心となる。

 前回、早さと力強さを増したプレーで、史上最年少女王に輝いた平野。その勢いは止まらず、4月のアジア選手権では中国選手を3連破して優勝、世界選手権でも日本勢48年ぶりの3位入賞と輝かしい活躍を見せた。当たり出したら止まらない、両ハンドの猛攻は脅威的。攻撃力という点では日本女子の中では一歩抜けている。連覇に向けてカギとなるのはメンタル面。王座に向かって突き進んできたこれまでとは違い、今回は女王としての戦いとなる。相手選手が向かってくる中で、どれだけ攻めの姿勢を貫けるかがポイントとなるだろう。

 女王の座を空け渡した石川も、リベンジに燃える。ワールドツアーでも安定して上位に絡んでおり、世界ランキングも日本女子トップの4位。平野に対してもワールドツアーでは2勝0敗と勝ち越しており、他の日本選手とも相性は良い。トーナメントを勝ち上がる上で、苦手な戦型が少ない部分も大きな強みだ。昨年度大会こそ敗れたが大舞台での勝負勘は折り紙付き。平野とともに優勝争いのトップを走る。

 平野、石川を追う第一集団にいるのが、2018年世界選手権代表選考会優勝の伊藤と同2位の早田ひな(日本生命)。伊藤は8月に行われたワールドツアー・チェコオープンで石川に勝利し優勝。用具、プレースタイルを模索してきた1年だったが、着実にその成果は現れつつある。磨きのかかった意外性のあるプレーと、抜群の勝負度胸で初の全日本女王の座を射止められるか。
 これまで同級生の平野、伊藤の影に隠れがちだった早田だが、今年は初の世界選手権を経験し、女子ダブルスで3位入賞とブレーク。ドライブの球威は日本女子随一と言っても過言ではなく、今シーズンはT2リーグにも参戦し、数多くの試合経験を積んだ。上位進出が期待された前回大会では故障により満足なプレーができなかったが、その鬱憤を晴らしたいところだろう。

 昨年度大会でともに3位に入賞した佐藤瞳、橋本帆乃香(ともにミキハウス)のカット2人も上位に絡んでくるだろう。カットマンという戦型を考えると、手の内を知られている日本選手に対し、どのような突破口を見つけられるかがひとつのカギとなりそうだ。世界ジュニアで2年連続の3位入賞を果たした加藤美優(日本ペイントホールディングス)も上位候補の一人。持ち前のオールラウンドプレーに加え、ここ最近はパワーがついて一発で抜き去るボールも打てるようになってきた。勝ち上がると5回戦(ベスト16決定戦)で前田美優(日本生命)、6回戦で佐藤と対戦する組み合わせだが、ここを乗り切れば優勝戦線を騒がす可能性もある。

 社会人女王の松澤茉里奈(十六銀行)、学生女王の安藤みなみ(専修大)ら日本リーグ、学生界の実力者たちも上位を目指す。日本リーガーでは、この1年間での成長を感じさせる前田、森さくら(日本生命)に、一昨年度大会3位の加藤杏華(十六銀行)、サンリツの若きエース森薗美月に、実績十分の森薗美咲と昨年度ベスト8の鈴木李茄(ともに日立化成)らに注目。山本怜(中央大)、阿部愛莉(早稲田大)ら学生の実力者も意地を見せたい。
 ジュニア世代では伸び盛りの中学3年生・長﨑美柚(JOCエリートアカデミー)も躍進を狙う。左腕からのパワードライブはポテンシャル十分、分厚い黄金世代に割って入りたいところだ。独特の速攻を見せる塩見真希(四天王寺高)も同学年の平野らに負けじと存在感を見せたい。

 かつてないほどのタレントが揃う日本女子卓球界。平野の連覇か、石川の王座奪還か、それとも新女王誕生か。女王のイスをめぐる戦いは今年も熾烈を極めそうだ。
  • 昨年度、圧巻のプレーで頂点に立った平野は連覇なるか

  • 負けっぱなしじゃいられない。石川はリベンジに燃える

  • 初優勝を狙う伊藤は選考会を制して全日本に臨む

  • 左の大砲・早田は飛躍の全日本にしたい